月: 2022年7月

システムを保証するのは検査体制

 AU、みずほ銀の障害の原因はネットワーク検査体制の不備にある。私は自社で数々の事故を起こしてきた。「何故だろう。何故だろう」と自問しているうちに40年経ってしまった。そして行き着いた結論は「検査体制の確立」であった。

確立のポイントは2点だ。

①検査部署に検査に強い社員を配置する。

②社長が検査システムを理解する。

この2つだけやればいい。簡単だ。

 印刷会社には制作課検査係にKさん(61)がいる。「Kさんが検査した」と言えば私は安心する。今月発行した社内報も「下版前の検査をKさんがやった」という報告にその晩私は枕を高くして眠れた。印刷会社従業員は53人だが、5万人の会社でも同じだ。①の検査に強い人の集団を作って片っ端から検査して回ればいい。

 次は②の社長が手を油で汚して検査システムを理解する必要がある。「これで万全だ」と思う段階まで検査システム担当に社長が質問して回線に触って手を汚して理解する。他人任せ、外注任せではいけない。社長が納得する検査体制を作れば障害は発生しない。

学ぶべき舞の海さんの話術

 昨日(7/27)に引き続いて同じ品川プリンスホテルで開かれた銀行の総会と講演会に参加した。参加は74社。さすが銀行、集客力がある。

 余興として大相撲の舞の海秀平さん(54)の1時間20分の講演があった。NHKと契約している解説者は北の富士さん(80)と舞の海さんの2人という。初日と千秋楽に2人で解説する決まりという。

 舞の海さんの講演で1つ優れた点を言うと「理路整然としている」ことだ。大きな受けがあるわけではなくゆっくり喋る中で ①1センテンスの文章がキチンと構成されている ②センテンス間のつながりが分かりやすい―ことだ。「自分はこういう喋り方だったらできそうだ」と思った。

 聴衆の反応が無いことが気になってシドロモドロになるのが私の通例だ。そんなこと気にせず聞く人が分かりやすい文章で話せばいい。20歳年下から学んだ。

歓待してくれる印刷機械メーカー

 7/26品川プリンスホテルで開かれた印刷機メーカーHさんのフォーラムに参加した。出席者は50人ほどだったが講演後の着席の情報交換会の参加は印刷業者20人、H社社員20人という塩梅だった。

 「うちはHさんにたいした支払いはしていないよ。それなのにこんなにご馳走してくれるなんて悪いね」「おいでくださってありがとうございます」話がまるでかみ合わない。「9月に新潟で工場見学会、静岡でゴルフ会をやります」「両方とも行く、行く」。嬉しい提案である。

 「ところでオタクはどこで儲けているの。俺なんかに出費しても機械は買わないよ。俺は枯れ木も山の賑わいか」「そんなことない。大事なお客様です。関西でパッケージの印刷機が結構売れています」「お宅の情報交換会は旨い料理をこんなに出して金の掛け過ぎだよ」と言いながら洋食コースを全部食べた。仕合わせな高齢社長の夕食である。

公庫「1億円貸したい」を辞退

 7/25(月)日本政策金融公庫の職員2人が来て「いろいろな制度を使うと金利はゼロになる。1億円借りないか」という。「ありがとうございます。必要ないので借りません」と即答した。

 カスカスで資金繰りしていた昔であればありがたい申し出だが、印刷会社、段ボール箱製造会社ともにカネ余りの現在は煩わしい提案だ。話題を他に切り替えようとしたが白けた空気だけが残った。

 考えた。これからの金融機関との関係は「借入ゼロでも鷹揚に付き合ってくれる所でないと交流できない」。例えば取引先懇親会に快く私を迎い入れてくれる金融機関だ。懇親会で他社経営者との雑談が私にはこの上なく面白い。

 私の格言に「最上の資金運用は借入金の返済である」というのがある。段ボール箱製造会社の2024年1月の返済を最後に両社の借入残高はゼロになる。その先はどうなる。余剰資金の使い道で決まった予定はない。

最上の飲料は水道水

 7/23(土)目黒駅前の老舗中華料理店「香港園」で昼食をとった。いつもならノンアルコールビールを注文するが「水をピッチでください」と頼み終始水だけで旨い中華を食べた。

 これが実に良かった。ビール、ウイスキーを少々飲むと3日間情緒不安定になる。とても辛い。水ならば終始平静で愉快に食事ができた。新しい発見だ。

 今日から「水道水をピッチで頼み、水道水を飲みながら食事をしよう」。

買う気起きない印刷機器新製品

 「スピード20%UP」などと銘打って印刷機器メーカーが華々しく新製品販売キャンペーンを打つ。とりあえず当社担当は調査するが私は「たいして変わっちゃいねぇえよ」と初めから頭はコチコチだ。担当が各方面から情報収集する動作に価値があると思っているだけで機器を買い替える気は毛頭ない。

 80年前製造のうどん粉撹拌機をいまだに使っている製麺業者を見ると尊敬の念が湧いてくる。うどんも旨そうだ。要は作り手の技術がポイントだ。旧い機械を自主保全する技術こそが良品生産への唯一の道だ。

 当社の油性印刷機3台12胴のローラー交換を7/19完了した。機長は一様に「印刷物の品質が良くなった。ゴミ付き色むらの心配がなくなった」という。自分がローラー交換して自分が刷った製品で効果を確認したのだ。次のロ-ラー交換は2年後だ。その間機長は版が変わるたびに布でローラーを拭き清める動作をやる。

 当社は機長自身の手でローラー交換をしたことがない。ただ「印刷機の調子が悪い」と機長が愚痴を言うだけで終わっていた。解決策が分からないままで創業70年である。会社は倒産もせずよく持ったと思う。

 現在は簡単だ。生産設備は機長が自分の手を汚して自主保全をやる。機械メーカーに保全依存は禁止。

これさえやっていれば①良品を生産できる。②設備を買い替える必要は無くなる。それが自然と社の増収増益に繋がっていっている。

猫も病院で死ぬ時代

 会社近くの平和坂商店街の蕎麦屋・鹿島に昼食に入った。恒例の通り店主の妹(55)に「大ちゃん何所にいる」と聞くと妹は顔を曇らせて「6/20に死んだ。16歳だった」。大ちゃんとは鹿島の黒毛の大きな飼い猫だ。

 妹は長々と説明しだした。「ゼイゼイいいだして動物病院に入院させた。3日入っていた。日に日に悪くなり『肺に水が溜まったせいだ』と先生は言っていた」と肩を落としていた。

 猫が入院か―と妙に可笑しくなった。しかも死因を特定している。動物病院の医者もお客様サービスのため細かく検査、診断している。今はそういう時代なのだ。

貴重な4日間九州旅行

 7/14-17、福岡県内をウロウロして2日間体調不良だった。7/20 やっと回復した。それにしても今回の旅行は面白かった。地元の人3人とジックリ雑談したからだ。

 飯塚市の商店街に柳原白蓮の展示館があった。館長の有松道子さん(79)は呉服屋だった店を改装して各地に散らばった白蓮関連資料を集めて独力で開館した。

 館前に立った時、私は胸が高鳴った。「町を歩いているとこんな貴重な場所に行き着ける」。小さな展示館に入って1時間余り雑談した。「地元の観光資源を開発したい」が有松さんの想いだった。

 おかげで白蓮のこと、25歳年上で白蓮と10年間夫婦生活した炭鉱王・伊藤伝右衛門のことを知ることができた。昔からの印象だが「九州は面白い」。

博多祇園山笠を見物

 7/15(金)5:00 福岡市博多区の承天寺前で3年ぶりに開かれた博多祇園山笠を見物した。櫛田神社を出発した8台の山笠が男たちに引かれ5㌔町内を駆け巡る。それに私たちが拍手、水を掛けた。

 静岡市商工会議所主催のこの旅行会は、1年前会議所の便所を借りるつもりで入ったら「聖一国師の会」のチラシがあり早速入会した。会の最大のイベントが博多祇園山笠の見物訪問だ。

 昔、博多で疫病が流行り苦しみの中にいた人々に、宋帰りで承天寺を開いた聖一国師が聖水を撒くことで疫病を鎮めた―ことが博多祇園山笠発祥とされている。

 聖一国師は静岡県出身でその子孫の米沢家を中心として祈年の会が毎年開かれている。その会に何の縁もない私が飛び入り参加した。

 25人の集団だから筥崎八幡宮では宮司のお祓いを受け、承天寺では住職のお経、話も聞けた。周りは皆知らない人ばかり。こういう未知の会に飛び込んでの行事は神社仏閣の奥まで入れるから面白い。

 祇園山笠が再開されて人々が活気づいているのが分かった。毎年7/15の早朝1日だけの山の引き回しだが人々の気持ちが華やいでいるのだ。隣に立っている老人に「大人に混じって走っている子供たちが可愛い」と言ったら延々20分山笠の説明をしてくれた。

 「女の子は小学生まで参加できる。だけど高学年で締め込みは生々しすぎる。走っているのはせいぜい3年生ぐらいまでだ」「そりゃそうだろう。ワッハッハ」と私。

人脈拡大法はチラシが多い

 公共施設などに行くと催し物のチラシを持ってくる。参加して面白ければその団体に入る。この動作が私が新しい会に入るきっかけとして1番多い。

 私は岐阜県美濃市出身の講談師神田京子のファンだ。5年前JR王子駅前の北区の施設で京子と俗曲師の2人会があり入口に俗曲師が主催する会のチラシがあった。上手い三味線と品のいい芸に早速会に入った。以降年4回開かれる旅行会・公演には皆勤だ。旅行会は俗曲師出身地の倉敷市周辺が多い。面白い会に入ったものだ。

 チラシの効用を知った私は印刷会社と段ボール製箱会社で18種ほど作り、営業が配っている。営業がホントに配っているのか疑わしい。こちらのチラシ効果はダメだ。営業にチラシを提供しても「猫に小判」である。それでも私は「飛び込み新規開拓はチラシ配布数がポイント」と思っている。例え当社の営業が、猫であっても小判を供給し続ける。

 俗曲師は桧山うめ吉という。

使い勝手悪いメガバンク

 200万円を他行に振り込んでもらおうと三菱銀行目黒支店に行った。「窓口は予約制だから、入口でまず予約を取ってくれ」という。驚いた。歯医者じゃあるまいし。

 来店客の要望は千差万別だろうから窓口が聞き取って片っ端から完了させるのが1番効率いいはずだ。更に入口のおばさんが「ご用件は」「ご本人様ですか」などと聞いてくる。応えるのも馬鹿馬鹿しい。メガバンク窓口はすべて予約制という。

 結論は、ATMコーナー以外の用件は、客の少ない○〇信用組合、信用金庫、地銀に行く―だ。予約もないし窓口がサッサとやってくれる。当社の総務課員が大崎駅前の東日本銀行を使っている理由が分かった。東日本銀行は元水戸市の無尽株式会社だ。効率UPのためなら不便さをウダウダ口にするより、次の手を実行した方が問題解決が早い。

早雲寺殿廿一箇条

 歴史番組を見て小田原の北条5代の始祖・北条早雲(1456-1516)の21か条があるのを知った。条文が分かりやすく私の胸に響くものばかりだ。

2条 朝は早く起きろ

14条 嘘をつくな

18条 友は良く選べ

20条 火元は自分で確認せよ

 誰もがやらなければいけないことで、1人の人間が生きていく上での基本中の基本である。早雲は21か条を守って相模の国を取った。中小企業の高齢社長も所詮は自分でやるべきことをやらないと末路は飛んでもないことになる。

 自分で現場に行き、手を汚して学ぶ。アイデアは自分で出して組織を筋肉質にする。これらをやるのが「面白い」と思えば高齢でも中小企業の社長を長いことやって行ける。

 何でもやってくれる家老の三太夫に任せっきりであればその先は奈落の底である。早雲は21か条通り独楽(こま)(ねずみ)のように動き回ったはずだ。

パリ祭を見た

 渋谷Bunkamuraオーチャードホールで開かれた第60回パリ祭を7/7見た。60人のシャンソン歌手が「ようやく開かれた花舞台」とばかりに次々に熱唱した。

 出演した老女歌手が切符を買っておいてくれた指定席は1階22列の真ん中で、満席なのにたまたま両側が空いていてゆったりと座った。「これはいい席だ」と思った。

 主役のゲストは鳳蘭、司会は山本リンダ。菅原洋一がやっと歩いての登場が印象的だった。

 観客は着飾った老女が多く「オーチャードまでパリ祭を見に行こう」という意欲のある人たちだ。その顔を見ていると気持ちがいい。人は意欲で動くものだ。対象は何でもいい。自分の足で歩いてそこまで行けば100%健康である.

毎月の損益表と試算表

 2つの表が当社の締め日(20日)から2週後に出来上がってくる。

損益表=全社・課毎の月と累計の損益を表で表したもの。管理会計の重要なデータである。総務課員が作る。

試算表=会計事務所で作る。貸借対照表(資産の部と負債の部)、損益計算書の累計が出ている。当社ではこれを月次試算表と呼んでいる。

 2つを見ると前月と今期の特徴が分かる。マイナス項目があれば当日中に手を打つ。プラス項目は放っておく。これがスリルとサスペンスで結構面白い。

 3月の損益表で印刷課が赤字すれすれになった。「改善への展望が見えない」という理由で課長が交代した。課長職も命懸けだ。ルールだから仕方がない。

 2表を見ているだけで現実が分かる。高齢社長の精神安定剤だ。

業界誌・紙を取る

 月刊誌「印刷情報」=㈱印刷出版研究所発行=を取っていたが、担当退職と共に回覧は回ってこなくなった。引き継いだ課長が「購読の契約更新をしていない」という。もったいない。再度復活して回覧を再開した。

 物流月刊誌「ロジスティクス・ビジネス」=㈱ライノス・パブリケーションズ発行=は新しく取り始めた。見本誌を読んだトラックドライバーは「お終いの方に共鳴できる記事があった」と言っている。「こんな頭脳明晰なドライバーがいたのか」と思った。他の社員には猫に小判の月刊誌でも明晰な社員だけでも読んでくれれば取る価値がある。

 私は業界誌・紙には興味を持って目を通している。できれば担当社員は業界の親睦会に入るべきだ。基本スタンスは「外に、外に」である。外部に接触することで学べる。面白いことが山ほどある。そこで業界を研究してもらいたい。

蘭州の麺食べた

 新宿駅西口の蘭州ラーメンの店に入った。蘭州は甘粛省にあり海抜1600mにある。中国中央部に位置し店員はイスラム教徒のかぶるような帽子を頭に載せている。

 西遊記の旅の途中に出てくるような地名に心躍った。16:00「異国情緒ある店で間食できるとはラッキーだ」と思いながら麺料理を注文した。旨くない。若い女店員に「蘭州から来たのか」と聞くと、河南省とか大連市からという。

 それでも蘭州という地名に本日、接することができただけでも私は嬉しい。

銀行機能は調達、運用、決済の3つだけ

 銀行の機能は①調達(借入)②運用(預金)③決済(振込・引き落し)だ。これ以外の機能はない。これを知ったのは1997年49歳の時だった。投資コンサルの講演で「あっ、そうか」と思い、それからはお金に対する考えが180度転換した。巨大なバケモノのような金融機関が私たちの「単なるツール(道具)だ」と考えるようになった。

 例えば1000万円の現金を手にしたら「①②③のどれに使おうか」決める。

①調達(借入)=借入金の返済に充てる

 ②運用(預金)=株か債券、不動産を買う

③決済(振込・引き落し)=会社の当座預金に入れて置く

 この考えを進めて行った結論は「②運用はやらない」―だった。

 新聞の株価欄を見ることもなくなったし、金利の動向も興味は無くなった。毎日の金の支出と収入だけを眺めていればいい生活になった。そして効率UPだけやっていると金は自然と手元に貯まっていくことが分かった。

儲かっている所から学べ

 巣鴨地蔵通り商店街で40半ばで鮮魚の食堂を始めた男がいた。そこで昼食をとったが、料理は旨いがどう見ても儲かりそうもない。1つ1つ改善策を指摘しようとしたら「どうしたら儲かるようになるか」と聞いてきた。

 私は「儲かっている食堂で話を聞くといい。話してくれなければ、行って観察するだけでもいい。自分の目で見るといい」といった。

 店主は「食堂を始めて1年半経つが面白い。ただカツカツだ」といっていた。「人間、好きなことをやるのが1番だ。あとは御自分で工夫してください」と言って店を出た。