新幹線が台風7号で運休のため熱海から東海道線に乗った。隣の女が「この電車、東京駅に行きますか」と聞いてきた。仙台の印刷会社に勤めているという。それから話は盛り上がり私は名刺を渡してしまった。
ホーチミン市(昔のサイゴン)の北隣の町出身だ。8人兄弟の7番目で伊豆の国市のホテルに勤めている妹を訪ねての帰りという。彼女は一方的に喋ったのではなく、私の質問に正直に応えてくれたのだ。
向かいの椅子に座っている乗客には私たちは一緒に旅行している男女に見えたことだろう。私は品川で先に降りたが飽きることのない電車行だった。