作家の安部龍太郎さんの講演会が静岡市市民会館大ホールで開かれた。テーマは「徳川家康の生き方」である。NHK大河ドラマでは「どうする家康」をやっており、静岡市内の目抜き通りには「どうする家康」の垂れ幕があちこちに下がっている。私はこの後講釈的ドラマは見ないし家康にもいささかうんざりしている。
安部さんの講演は14:30に始まり16:00に終わる予定だった。家康に興味のない私は講演中は眠っていた。「ハッ」と気づいて目を醒ますと広い会場のデジタル時計は丁度16:00を指していた。と同時に「これで私の話は終わります」と言って安部さんは演壇を後にした。
見事な終わり方である。講演内容はほとんど記憶にない。しかし、この終わり方に安部さんの品格を感じた。
「話は戸をバタンと閉めるように終われ」と言われている。将に安部さんはバタンと閉めて姿を消した。私には快感が残った。