月: 2024年5月

夜間印刷のなくなった大日本村

 赤羽駅の東南に大日本印刷㈱の工場が密集している。どれもが大きな建物だが、いずれも稼働している様子はない。鎧戸が閉まったところが多い。

 これは大日本本社方針が10年前「用紙印刷からの撤退」に転換して以来の結果だ。駅東側の赤羽1番街の店は夜勤明けのお客が無くなったので開店は午前9時から11時になった。

 私は14時ごろ「まるます家」に行って鯉の旨煮、鯉こく、馬刺しを食べる。酒を飲まない私はチャチャと川魚料理の豪華な昼ご飯を食べて退店する。まるます家も従業員が減った。環境が変わればそれなりに体制を変えていく逞しさがある。それでも店の得意料理が川魚という特徴があるから客は逃げない。

 会社の背骨が何たるかを確認しているところは強い。「王耕の背骨はスピード応対」である。

 大日本は大企業特有の保有技術で精密部品の生産に主業を移して行き利益も出している。

 気になるのは60近いまるます家の美人孫娘が私を避けることである。

安ゴム底靴で快適

 5/28赤羽のイトーヨーカ堂で靴を物色していたら80過ぎの爺さんが4,500円のゴム底靴を手に「今の靴は安いですね」と言ってきた。「これじゃ高いですよ。私は2,000円ぐらいのしか買いませんよ」と応えた。「そうなんですか」と言って爺さんは向こうに行ってしまった。

 私は安ゴム底靴で重宝している。理由は

1、私の甲高幅広の足に合う靴が多い。

2、ゴム底だから滑らない。年を取ると転ぶのが1番怖い。

3、軽い。

4、安いからいつでも捨てられる。

 今はめったに革靴は履くことはない。新年会、交流会といった公の場でも安ゴム底靴だ。5/27のみずほ銀行ゴールド会員の会でも180人が参加して安ゴム底靴は私1人だった。「俺は借金ゼロだ。身なりよりもゼロの方が偉いのだ」と腹の底で思っているせいだ。

 27㎝のサイズで幅を緩めて履くと快適だ。

新しい機能ゼロ  drupa2024

 5/28からドイツで世界最大の印刷機材展drupa2024が始まる。その予告記事を読んで私は何の感興も起きない。一切が小手先の新製品だからだ。従来機械にカバーをかけて「新製品」と銘打っている様なものばかりだ。

 「あらゆる生産設備は20年前のものと同じである」と思っていれば間違いない。20年前に買った印刷機械は部品交換で新品同様の活力を回復する。印刷業とは装置産業ではない。自主保全産業である。

 面白いことに9年前、私に自主保全の重要性を教えてくれた文京区の印刷専業の社長(71)が5年後に小森のUV機に買換えていた。「教えてくれたことと違うじゃないか」と笑ってしまった。耕の方が「旧いものを使い切る」点では徹底している。

 部品交換は果敢にやるべきだ。部品代はせいぜい2万円程度。オフセット印刷機を丸ごと買換えると3億円かかる。こんな大きな買物をしていたらいつまでたっても借金地獄から抜け出すことはできない。

 王耕は金融機関からの借入はゼロだ。高度な技術を必要とする工程は外注さんにお願いする。例えば抜き作業はかなりの熟練度を要する。王では逆立ちしても良品を作れなかった。今は墨田・台東区の抜き専業の会社さんにお願いしている。

 お願いし続けるには外注さんへの「礼儀」と「少しでも外注さんのお役に立ちたい」と思うことが大事だ。

 その最たるものが支払いの「20日締めの31日振込」だ。検収期間は11日。外注さんは当社に納品して11日後に現金が入金する。喜んでくださっている。だからdrupa2024に出展された機材は外注さんが「必要だ」と思えば買うだろう。

 王耕には関係ない。

陶器瓶は分量が確認できない

 5/23(木)私が優秀な成績で卒業した世田谷区立等々力小のクラス会が横浜中華街で開かれた。会費5,000円で10人が集まり愉快な時間を過ごした。「折角だから」と私が1番高い紹興酒の瓶15,000円を注文したがどうも酒の量が少ない。横に倒してもなかなか出てこない。

 栓が開けられてきた20年物の酒は旨かった。店には何も言わず紹興酒を飲みたい3人で空けた。

 よく考えてみると陶器瓶の酒の量は見えないから分からない。店の従業員が「一寸1杯」と湯呑みで飲んだかもしれない。すでにグラスで売った後の瓶かもしれない。

 私は疑い深い性格だ。再発防止策は客が栓を開けるようにすればいい。

「女房の作った握り飯が1番」

 タクシーの運転手さんの言ったことである。私の出勤はタクシー1,200円だ。品川駅から電車で来ると大崎駅から10分歩くのが面倒なためだ。

 タクシーに乗るとおしゃべりな私はまず自分のことをしゃべる。「心不全だから足元がふらつく。年のせいか食べたいものがなくなってきた。最近旨いと思うのはコンビニで買ったお握りだ」。

 「私は女房が持たせてくれる握り飯が1番旨い。海苔が多めに包んである。なんで握り飯はあんなに旨いのか分からない」と運転手さん。「その通り。お握りは旨い。76歳になって食べたいものが急に減ってくる。お握りに助けられている」私。

 兎も角こちらが声掛けすれば運転手さんは応えてくれる。嫌なら無視してくれて結構。

 会話には老若男女はない。私は誰彼構わず話し掛ける。運転手さんは最後すっきりしたような表情で「ありがとうございます」とおっしゃる。

水上印刷さんがMICに社名変更

 印刷業界ダントツ会社(TDB評点76)の水上印刷さんが2022.1.1に㈱MICに社名変更した。

 HPによるとM(未来)I(イノベーション)C(カンパニー)を意味しているという。売上が100億円を超えたMICさんと見比べると耕はかなり出遅れた会社である。

 しかし現在、私にとってMICさんは王耕が目指す会社ではなくなってきている。理由は

1、社名は変更しない。

 耕文社、王子段ボールは私たちにとって立派な暖簾だ。一旦掲げた暖簾は終生変更すべきではないと思っている。弁当配達会社が「たまごや」を名乗っているのは痛快だ。

2、主業が広告支援業に向かっている。

 耕も広告代理店要素を事業の柱にしようとしたが、どうも未来像を描けない。やはり①パッケージ②シール③手提げ袋④カレンダーといった物品製造からしか主業転換は図れない。これから行くと大阪のザ・パック㈱(TDB評点66)さんの方が目指し易い会社である。主業が角底紙袋製造業、段ボール箱製造業だ。

3、MICさんはimageが柔らかい。

 つかみどころがない。耕は生産商品をもっと明確に打ち出したい。

本日(5/21)王70期、耕63期スタート

 王は買収(2012.6.29)後12年目に入る。段ボール製箱業として安定してお客様を増やしている。69期で78社増やした。お客様数は892社から970社に増えた。月売上げ50万円超のお客様は2社増えた。

 段ボール業界が低迷期に入っている。3年前に原紙単価を35%上げて以来需要不振が続いている。どこの段ボール会社にも注文が来ないのだ。

 王は特段の設備投資をしていないから特にお金の心配はしていない。全社員がいいとこのお坊ちゃん、お嬢ちゃんのような顔をしている。

 耕は4商品(パッケージ、シール、手提げ袋、カレンダー)の受注増に努めている。「急に増やせ」と言っても無理だから毎日の日銭朝会で進展状況のチェックを入れている。このチェックが全体数字を押し上げることになるだろう。「急ぐべからず」といったところだ。

 前期で月200万円超の超大口お客様は1社増えて9社になった。たった1社である。やはりいいところの生まれの営業部員は駄目だ。ハングリィじゃないのだ。

売上目標は王前年比6%・耕4%増

 5/21からの来期目標は王は鈴木崇夫さん、耕は伊野信康さんが言った最初の数字だ。私はそのまま是認した。

 これで売上目標が決まったのでこれを土台に工場目標が決まれば経営計画書は完成だ。以前は経営計画書として冊子を作っていたがずいぶん簡単になったものだ。

 問題は今年のスローガン「アイデアで楽しく稼ごう」がいかに加味されるかだ。アイデアによってはとんでもなく生産性がUPしたり受注が飛躍的に伸びたりする。丁と出るか半と出るか分からないところがアイデアの醍醐味だ。

 王耕の目標は増収(売上増)増益(利益増)だ。目標は1つなのだから社員はその実現に向けてアイデアを出せばいい。不発に終わってもいい。件数が多く出ることが重要なのだ。

 例えば忠雄大さんのプリスロのシート跳ねとび防止棒2本を外すことでタトウ生産スピードを1.5倍にしたことは見事であった。製函機メーカーの梅谷さんに忠さんが確認したところ「棒がなくても跳ねとびがなければ問題ない」というお墨付きをもらった。

 このようなアイデアの積み重ねで「楽して稼ぐ」ことができる。アイデアの出しっこはゲームである。王耕社員は血と涙を出して働く必要はない。気持ちに余裕をもってゲームをしていればいい。

ツタヤが「推し活」に変身

 「推し活」とは「好き」という意味。自分な好きなキャラクターのステッカー、カード、色紙などのグッズを集めること。

 今までCDやDVDのレンタルが主業だったツタヤがグッズ販売のコーナーを大々的に設けた。まるで来客がなくなったレンタル収入をカバーしようとしている。恐ろしいことである。ツタヤはここ3年利益ゼロが続いている。ほかの収入源を作っていかねばならない。

 どこの業界も発生し得る危機である。どうせなら絶対無くならないテーマを決めてやっていきたい。無くならないテーマをあえてここで申し上げれば以下の3つだ。

  • 配送(段ボール箱製造も含む)
  • 販売促進
  • 新規開拓

 この3つを同時にやって行きたい。

 幸い現在は王耕でこぢんまりとだが3つに関連したことをやっている。3つの中でどれが伸びるかダメになるかは分からない。1点に偏ってはいけない。私はいつも3点を見ながら商売を続ける。

物流改善事例大会を聞く

                                                                                                                        

 耕で月刊誌を取っている日本ロジスティックスシステム協会が年1回開いている各社の改善発表を初めて聞いた。大手30社が成果発表をやったが「良くなったこと」中心でもう1つ深みがなかった。

 やはり私たちが聞きたいのは苦労した点である。㈱

 山善がトラックからフェリー・鉄道輸送に50%切り替えたが10トントラックを集めるのが大変だったーという。これは興味深かった。

 やはり話はマイナス面を織り込まなければ誰も耳を傾けてくれない。私は人と話すときは自分の失敗例から入ることにしている。

DXより強力な社員アイデア

 DX (デジタルトランスフォーメーション)とはデジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスである。

 品川区では盛んにDX教育に力を入れているが、いずれも初心者、ベンチャー向けの教育が中心だ。例えば経理ソフトの選び方とか私が学ぶことは少ない。

 それより王耕で山村さんがパソコンを入れ替えたことの方がよっぽどDX推進になっている。これから王耕社員がやることは①全社員が分かリ易い表づくりーである。新規開拓数の多い順、アイデア提案の多い順など。

 結局はアイデアに行きつく。アイデア多発の王耕であれば最もDX  の進んだ会社になる。

旧い万年筆6本売る

 業者が23区内20カ所で買取会を開いていた。5/13(月)私は京浜東北線大森駅駅ビルの会場で売った。24,000円で引き取ってくれた。予想以上の額だった。

  1. 仙台の手作り業者・大橋堂のものが1万円。5万円で買ったものだ。
  2. モンブランが8,000円
  3. プラチナなどが1,000円

 燃えないごみで捨てるところだった。

 最近は買取り商売が大流行だ。ブランドバッグ、金、和洋服、果てはオーデオと。古いものを買って販売するいわゆる質屋商売だ。この商売はいとも簡単に参入できるのが特徴だ。万年筆を査定したおばさんは「私はこの会社に入って1年です」と言っていた。

 ゴミとなって廃棄されるものが有効利用されるのは社会的には意義のあることだ。私の引き出しの中は少し物が減った。

三井住友銀行様から新規受注

 耕営業4課の浅井慎太郎さんが三井住友銀行様を開拓した。余りにも大きなお客様なので私の頭の中も整理できないでいる。6万円ほどのパネルの受注だがお金を払ってくださるのはまごうかたなき三井住友銀行様だ。

 64年前私が中学生だったころ父・昌夫は目黒区鷹番で10坪ほどの工場で印刷業をやっていた。ある日60歳近い森さんという地味な営業が日本電気総務課から薄い文書の印刷をもらってきた。それが切っ掛けとなって日本電気コンピュータのマニュアル印刷を請負うようになった。

 その後日本電気近くの港区三田に本社を移し社員は鷹番の12人から100人に増えた。その頃29歳の私は毎日新聞社でにっちもさっちもいかなくなっておりこの身を父に引き取ってもらった。

 当時の教訓としては「大手のお客様は請負う仕事が異常に広がることがある」と。

 今回の三井住友銀行様はどう展開するか分からないが、ビックリするような大手である。こちらのアイデア次第で面白い未来が開けるかもしれない。ダメ元でいろいろな提案はできそうだ。

埼玉県は豊かな農耕地

 5/3中学時代の友人の運転で高崎線鴻巣駅周辺を回った。利根川下流の茨城県潮来市周辺が豊かな農耕地であることは潮来CCに通っていたので知っていたが、上流の鴻巣駅周辺も平地が続く豊かな地形が広がっていた。

 利根川の取水口から大量の水が流れ込み、それが3つの分水流となって平野に流れ込んでいる。物凄い水供給量だ。田畑の作物は否応なく豊かに生長する。  

 埼玉県は秩父の山地を除いて東側はなだらかな平地が広がる。「埼玉県は奥が深い」と言われているが、平地が広いから何でもできる。大学、住宅地。東埼玉テクノポリスなど工業団地も61カ所ある。

 「王子から埼玉県の工業団地に段ボール箱受注の営業をやろう」と5年前に声掛けしたが今のところ成果ゼロだ。いずれはじわじわと工業団地にお客様を作っていくつもりだ。

 茨城県も同様だがすべての根源は利根川にある。大河が作り上げた平野は豊かである。人々はその豊かさを享受して生活している。茨城・埼玉・千葉県の人々は仕合せである。この3県の会社に段ボール営業を掛けられる私も仕合せ者である。

製函スピード1.5倍にした

 王製函課の忠雄大さんがタトウ式段ボール箱の生産スピードを1.5倍にした。プリスロで毎分90枚作っていたものを130枚にしたのだ。シート跳ね上げ防止バーを外したことで一気にスピードが上がった。バーを外しても安全性に問題はなかったという。

 タトウ式とは外側から内側に包み込む形状の段ボール箱だ。メール便で最も価格が安い形状で、王製函機は一気通貫でタトウ式を作れるのが特徴だった。最も一般的なA式段ボール箱製造と同じ130枚/分のスピードになったのだ。

 大変な効率UPである。忠さんは「シート流し込みの山室さんと後工程のフォルダーグロアーの茂田さんと藤井さんが忙しくなってしまう」と心配していた。私は「あんな連中なんか放っておけ」といった。

 忠さんのアイデアで王体質は更に強化された。

会社を弱くするホールディング

 ホールディング制に移行する大手が増えている。私はホールディングになった会社を信用しない。本業が不明確になるからだ。

 グループトップはホールディングで子会社の数多くの業種を束ねて統率できるからこんな便利な組織体はない。

 しかしホールディングにぶら下がる会社は本業が何であるかがぼやけてくる。高じて単体で儲けなければいけないものがホールディング内で利益の移動を始めたらもう末期症状だ。

 社員が自社が儲かっているのかが分からなくなってしまう。1トップの都合で全体がぼやけてしまう恐ろしい麻薬なのだ。大手には事業部制をとって業種別に分けるところもあるが生ぬるい。やはり別会社にする方がはっきり分けられる。

 最近の専門店が売上を伸ばしているのは本業1つに力を集中しているからである。どんな波が来ようとも「単体で乗り切っていく」という社員の心構えが1番のエネルギーになる。

なによりも重要なのは単体の決算書が次のPLAN-DO-CHECKの資料として使えることだ。

バラライカ演奏会で新鮮味

 文京区のシビックホールで5/2(木)開かれたバラライカ演奏会に行った。目黒駅近くに新しくオープンしたロシア料理店にチラシが置かれていたので1枚持ってきた。ロシア料理店の料理はさほど旨くなかった。

 ロシアの民族楽器であるバラライカは繊細な音は出るが音は大きくない。よく聞こえない。手首を細かく振る動作の割には音が出ない。

 会場には知った顔は1人も居ない。新しい分野のグループの人達だ。こういう未知の集団の中でよそ者として無表情に座っているのも快感だ。

 ゴールデンウイークでやることのない時の時間つぶしの音楽会だった。

奈良漬が旨い

 うな重を食べて1番合う漬物が奈良漬けである。厚く切った奈良漬けが4枚ほど添えてあるとかば焼きは一層味が引き立つ。

 近鉄奈良駅からJR奈良駅につながる商店街は5軒に1軒は奈良漬けを販売している。瓜(うり)を半分に切った形のいい大きな奈良漬けだと1つ5,000円はする。

 徳川家康は大坂夏の陣で献上された奈良漬けをいたく気に入った。江戸幕府では奈良漬けだけの御用商人がいた。

 奈良県民はどうして異常に奈良漬けを好むのか分からないが、発酵食品としては塩分少なめの健康にいい伝統漬物だ。これが奈良以外の地域では販売量は落ちる。もったいない話である。

 東海地方の酒店では灘の「沢の鶴酒造」の作った奈良漬けを仕入れている。蔵の酒粕有効利用だ。どこの産でもいい。奈良漬けは私にとって欠かせない食材である。