月: 2024年10月

飲食店が増えた百反坂

 品川区大崎2丁目から首都高荏原口までの緩い登り坂を百反坂という。耕文社が西品川1に平べったい中古ビルを買った41年前、百反坂は食品・生活雑貨を売っている百反通り商店街だった。

 その後商店は減り続け、ただの道路になった。

 ところが大崎駅西口にオフィスビルが建ち始めると飲食店が開業し始めて結構凝ったイタリア料理、蕎麦屋、カレー店が並び始めた。「ここで昼食を摂らない手はない」と私は1軒1軒味見に通いだした。

 10/30は中華の九麗瑠(クレイル)に入った。カレーライスとタンメンのランチメニュー(850円)を注文したが量が多くて食べ切れなかった。「この漢字は読めない」と言ったら「初めに付けた店の名だから変えられない」とおばさん。味は普通。

 オフィスができれば周りは飲食店が萎集するのは当然のこと。変貌する地元の裏通りを探訪するのも悪くはない。

面白かった港区長寿を祝う集い

 10/29 東京プリンスホテルで2,000人を集めて開かれた。資格は港区在住の76歳以上の老人・老婆。それぞれが1番の正装に身を固め出席していた。傍から見ていて気持ちのいいものだ。

 ゲスト歌手の新沼謙治は「港区の隣の大田区からやってまいりました」には驚いた。「あんな田舎の区は港区の隣にはない」と私。最前列に20人ほど車いすの参加があり、介護する家族の姿は微笑ましいものがあった。

 お土産は紅白饅頭2つだけ。飲み物は隅に並んでいる冷水器の水を飲めという。

 演芸は老婆7人ほどずつ4組が「六本木音頭」、ハワイアンダンスを披露した。男は1人も登場しなかった。

 私は十把一絡げ(じゅっぱひとからげ)に長寿と言われても悪い気はしなかった。

日頃の大声が大事

 私はヒソヒソ話をすることほど見っとも無いことはないーと思っている。蚊の鳴くような声で話す人間はそこから1日の生活全体を伺うことができる。目立たないように目立たないようにー世間を渡ろうとする魂胆が透けて見えるからだ。

 かく言う私も次第に小声になり相手から「今なんて言った」と聞き返されることがある。自分の全人格を否定されたようで赤面する。

 目黒駅近くのボイストレーニング学校に通ったことがある。これも効果なし。

 ではどうするか。

 「大声は演技である」と考え、発声する前に1呼吸置いて「どんな声を出せばいいか」心を決める。そしておもむろに発声する。そうすると100%合格ラインまで行く。私は毎日演技しているのだ。

日程詰まった7日間に緊張

 1、10/18(金) ①高輪病院で3ヵ月ぶりの心不全検診。担当医師「毎月来なきゃダメだ」と立腹。

②夕、㈱ショーワさんの懇親会に出る

 2、10/19 吉祥寺コンサートサロンで素人音楽愛好家12人の歌・ピアノ演奏を聞いた

 3、10/20  大利根CCフェローシップ委員会に参加。。骨のない委員連中を罵倒するが暖簾に腕押し

 4、10/21―23 杭州市万寿寺訪問

 5、10/24(木)世田谷区立等々力小3組今年2回目のクラス会。自由が丘駅近くの食堂。9人参加

 日頃はスカスカの日程で生活している。これだけ予定が立て込むと流石に緊張する。1つ1つ誠実にこなしていくのがコツだ。

地域に密着した優良企業

 印刷機材販売の㈱ショーワさん(評点=53)の10/17総会後の懇親会に出席した。

 本社の上に住んでいる幅和弘会長(82)は嬉しそうに「神田三崎町1丁目の町会長になった」とおっしゃる。さらに三崎稲荷神社氏子総代会会長もやっており私は「おめでとうございます」。

 横にいた伊澤秀春前社長(76)が「私は1丁目副会長です」と言って町会名詞をくれた。

 お2人の家は戦前からこの東京のど真ん中にあり商売は堅実、地域への愛着も人1倍だ。

 耕文社は1981年に西品川1丁目の中古ビル(現在の本社)を買って43年になる。町会の集まりには出るようにしているが、私はいまだによそ者だ。やはり企業は地元の人達と交流し何らかのお手伝いする気持ちが大事だ。

 幅会長のように地域完全密着は会長のお人柄の賜物である。

精進料理は旨くない

 中国・浙江省杭州市の海抜700mの山奥にある径山(きんざん)萬寿寺に10/22、23 行ってきた。

 静岡県出身の聖一国師(1202-1280)が修業をした寺で子孫の米澤緑さん(74)が市内にお住いのため静岡市商工会議所と静岡鉄道㈱が中心になって聖一国師顕彰会を作って行事を年3回開いている。

 今回は国師が師事した無準師範の入滅775年の法要が万寿寺で行われるための1行15人の杭州行きだった。私は国師を知らなかったが面白そうな行事にだけ便乗している。

 古来高僧の子孫は明確に残っている例は少ないが米澤家には代々の申し伝えがある。

 国師が開山の京都東福寺からも坊さんが20人参加し200席の賑やかな午餐会であった。料理は18品出たがいずれも精進料理。味が薄く旨くない。「坊主は毎日こんなものを食べているのか」と気の毒に思えた。

 ついでに申し上げれば京都-妙心寺近くの「阿じろ」の精進料理コースの方が旨かった。

 翌23日の法要は野天の舞台で200人が立錐の余地もなく2時間立って行われた。私は足が悪いためふもとの境内のベンチに座っていた。

狭い範囲のアイデア出しは面白い

 私の狭い範囲とは 1、印刷業と 2、段ボール製函業の限られた範囲である。

 この中で「ア~でもない、コ~でもない」と考えるのは第1に疲れない。第2に毎日のことであるから切実感がある。3は結果をすぐ確認できる。

 王耕の目的は増収増益である。簡単な目的であるからアイデアと結果を照合しやすい。

 例えば在庫確認で耕の製品在庫は ①社内と ②外注倉庫の2カ所にある。在庫のある営業は5人、品目は7つである。これを網羅した管理表を作れば月々の製品在庫の流れは一目瞭然となる。これで在庫管理の表は完成だ。

 このような調子でモノと金の流れをエクセル化していけば耕を隙間なく分解管理できる。

見本件数達成こそ成長の証(あかし)

 王子段ボールのお客様への見本提出件数1日目標は10件である。10/17(金)野地薫さんの作った見本は14件だった。

 このところシート発注平米は1日目標1.7万平米に対し1.5万と低迷している。しかし見本件数さえ達成していれば将来は明るい。

 お客様は超大・大・小とあるが、どれでもいい。見本件数10件超えさえしていれば新規・新版が増える。新規が増えればいくばくかの増収(増売上)になる。新版が増えれば新しい形の段ボール箱の増刷が来る。

 見本件数は王子売上の先を占う先行指数だ。今のところ見本件数は順調だ。私は枕を高くして寝ている。

伝言板配信が60分早くなった

 従来は9:40頃の配信だったのが今では8:30には完了するようになった。理由は私の伝言板の提出が早くなったためである。

 今までは当日の物は当日朝に書いていた。行数が次第に増え「A4,1枚プラスαにしないといけない」という強迫観念に駆られるようになり配信担当の村上優人さんへの提出が9:30ごろになっていた。「私のために配信が遅れてはまずい」と思い改善策を考えた。

 結論は毎日2本ずつ書き溜めて置き8;00までに新しく書くか溜めて置いたものを出すーか決めるようにした。

 伝言板は王耕が増収増益になる最大のツール(道具)である。こんな便利なものはない。社員が「何を考えているか」手に取るように分かる。早急に解決すべきだ」と思ったら課長に本日中の解決を約束させる。社員の不満がポロリと出ていたら午前中にスマホでその詳細を本人から聞く。そしてすぐ解決―である。

 帯広市の菓子メーカー六花亭でも同じような伝言板システムがある。そのせいか六花亭は北海道で指折りの優良企業だ。

「○○以上」は目標にならない

 今期の経常利益目標は1億円以上―というと途端に目標数字が弱まってしまう。目標が弱まるようなことは避けるべきだ。1人1人の社員にとって目標は分かり易いものでなければならない。

 この場合「経常利益目標は1億円」と言い切ればいい。「以上」を付けてわざわざ社員の一致点をぼやかすのは得策ではない。1億円、1億円、1億円ーと唱えていれば1億円はいつか実現する。

 目標は日蓮宗のお題目「南無妙法蓮経」、浄土真宗の念仏「南無阿弥陀仏」と同じだ。唱え続けていれば何時かは私たちの掌中(手のひらの中)に入ってくる。

 ここで王耕のD(デッドライン=期日)を設けない売上目標を申し上げれば

王子段ボール=300億円(2024.5.20実績5.9億円)

耕文社=30億円(同 9.7億円)

ハイボールがダントツ

 日本人の飲む酒の34%はウイスキー、ブランデーを中心としたリキュール。特にハイボールの消費が頭抜けて多い。次がビールの30%だ。

 全国に1,400軒ある蔵元の日本酒売上はほとんど伸びていない。6%だ。蔵元の若旦那がいくら工夫を凝らして新しい日本酒を作ってみてもダメだ。オフセット印刷業界のようなものだ。

 私は「どうせ若い力を注ぐならウイスキー蒸留に転換すればいい」と思っていた。案の定ウイスキー蒸留所は10年前の8倍の97カ所になった。ジャパニーズウイスキーとして輸出額は10年前の8.6倍に伸びた。

 あとはウイスキー業者同士の競争だ。少なくとも日本酒を作り続けるより未来はある。

唐揚げは食べない

 年(76歳)のせいか天ぷら、揚げ物は食べなくなった。体が受付けなくなったのだ。天ぷら・。タヌキそば等はとんでもない。キツネ・カレーそばはOKだ。油揚げは許容範囲内。

 私はこの変化を喜んでいる。食生活の変化こそ高齢を快適に過ごすコツだ。唐揚げなどはとんでもない。

 食堂はメニューが少ないほど儲かる。客寄せに品数をどんどん増やすのは得策ではない。私が食堂をやるなら1、カレー 2、餃子の専門店をやる。

ステーキ屋のウエイターが「もともと日本人はステーキを食べる民族じゃない。ハンバーグライスは好む。なんといっても好きなダントツはカレーライスだ」「それならカレーかハンバーグだけの食堂にしろよ」「私に言われてもなんとも応えられない」。

 餃子は中に野菜が入っているから食べられる。それに作る手間がかからない。だから餃子専門店は好調なのだ。唐揚げは肉と油だけだ。

書込み社員は優秀

 書込みしない社員は無能ーである。A4できれいにプリントされた資料を更(サラ)のまま配る社員には困ったものだ。更のプリント紙が最上だと思っているのだ。

 読む方にすれば赤のボールペンで追加説明が書込まれていれば1発で分かる。書込みがある資料をコピーすれば書込みはきれいにプリントされる。敢えて書込みしないのは罪悪である。資料には全部書込みをしてもらいたい。

 どんどん書込んで十分に汚れた紙面の方が価値がある。読者は書込みの赤字から読むことがある。例えば「この資料の出典は○○」「統計数値は2023年の物」と言った書き込みがあれば読者の理解は早い。

 私はビジネスは早くて正確ならば合格―と思っている。A4紙が貴重な資料になるかどうかは筆者の書込みの量による。

二重言葉の怪

 男の武士の侍が、馬から落ちて落馬して、女の婦人に、嘲笑されて笑われて、腹を切って切腹した

 よく引き合いに出される二重言葉の好例だ。上の例文の5文節すべてが二重言葉だ。読む方にすれば「なんて面倒臭い文章だ。くどい」と思うだろう。

 一言で言うべきことを2語で言うから嫌われることになる。特にビジネスの世界では要領の悪い人間は敬遠される。時間ばかり掛かって結論になかなか到達しないからだ。

 王耕の社員が使う二重言葉に「見積りを依頼された」がある。これは「見積りをもらった」と書けばいい。名詞を動詞化した言葉は二重に使わない方がいい。その都度当人に注意している。

 かく言う私も時々「改善して早急にやらなければいけない。時間短縮は当社の生命線だ。しなければいけない効率UPのテーマは多い」などと書く。これは抽象的ビジネス用語を並べているだけで具体例がないから何が何だか読者は分からない。

 良い文章は以下のように書く。

 改善項目は ①オンデマンドGのスペースを2倍にする。D=10/31 ②納品係の保管表を完成する。D=10/11

 固有名詞と数字を入れて文章にして初めて読者に分かってもらえる。

目当てはアルバイトのおばちゃん

 銀行のカウンターの外でウロウロしている50歳というおばちゃん行員に声を掛ける。「200万円振込みたいけどどうしたらいい」「キャシュコーナーは振込は50万円限度ですから窓口に行ってください」「準備するものはありますか」「前のお客様がいるので少々お待ちください」「居ないじゃないか。早くやれよ」。

 無事振込終って「お客さん前に来ましたよね」「来たよ。君は発音がおかしいが中国人か」「日本人ですよ」「私にはこれから中国人のように発音してくれ。老人は大切にしろよ」「分かりました。そのように発音します。謝謝」「その調子だ。また来るよ」。

 10/7  目黒駅前の都銀での会話だ。お互いにふざけたがっている年寄り2人。高齢者が仕合せに生きるコツはこんなところにある。

アニメ製作費が10分の1に

 10分の1で作るアニメを「ライトアニメ」という。従来の物はフルアニメーション。ライトは大日本印刷とIMAGICAが共同で始めた。

 原作マンガの画像を加工して作るため費用は90%減、全面書き直しのフルの製作期間は3年。ライトは6分の1の半年。紙芝居風に画面が動くために視聴者が受け入れてくれるかが未知という。

 テレビの地方局がライトを放映し始めた。視聴者の中には「全然問題ない」という意見もあるが、当面はライトとフルが共存していく格好だ。

 私はコストの安いライトが微改善を加えシェアを広げていくと思う。

 すべての生産物はコストが低い方に注文は移っていく。

外注さんに部数分け梱包してもらう

 梱包係の簑島誠一さんの伝言板で「製本会社さんで一律20部梱包されたものが来たのでお客様指示通り部数分け梱包し直した」とあった。私は「部数分けは外注さんにお願いしろ」と語気を強めて簑島さんにスマホした。

 簑島さんは早速管理課の成瀬義弘さんと打合せして「今後部数分け梱包は外注さんにお願いする」と決まった。

 多少加工代が割増されても2手間かかっていたものが1手間で済むのだから確実にコスト削減だ。縦割り組織は後工程が前工程に言われた通りやるという弊害がある。

 工場・営業は「前工程に改善を要求すればすべてコスト削減になる」と思ってよい。営業の前工程はお客様だ。コストが下がると思えば正面からお客様に仕様変更をお願いすべきだ。

 簑島さんはこれで梱包分けの仕事は無くなる。他の付加価値の高い仕事にエネルギーを振り向けられる。

夕刊フジ休刊の衝撃

 産経新聞社の「2025.1.末で休刊」の思い切った決断に驚いた。夕刊フジは今まで買ったことはないが出版不況がここまで来たのだ。

 四の五の迷っているよりスパッと休刊を決めたのは見事だ。赤字刊行物であれば①まず休刊 ②次のことは早急に決めるーの手順でやるべきだ。垂れ流し赤字ほど罪作りなものはない。決断力のあるキーマンが居ないことを露呈しているからだ。

 一旦空にして次の取り組みを考えるのは賛成だ。コスト削減は早いほどいい。削減の決定は社員に伝わる。社員は自らの削減に目が行く。ここからが面白い。削減という電車に乗ってしまえば社員・役員ともに心を1つにできる。

 私はコスト削減は得意だが売上増は苦手だ。王子は放って置いても遅々として売上は伸びていくだろう。段ボールのマーケットが伸びているからだ。

 問題は耕の売上増だ。新しいマーケットを見つけないといけない。

幼虫飼育始めた大日印

 大日本印刷㈱は鯛など養殖魚の飼料になる昆虫の幼虫「ミールワーム」の飼育工場を立ち上げる。場所は休眠工場を使うという。8年後に140億円の売上を目指す。

 売上1.4兆円、従業員3.7万人の大所帯が文字離れの中、変革の道を探っている。これだけ大きくなると①株価の維持 ②従業員の雇用―と果さなければならない責任は大きい。

 この際「思いつくものは何でもやろう」の精神は立派だ。会社の変革はまず「売るものを変えなくてはいけない」。従来のオフセット印刷物の範囲内では新しい売上は発生しない。販売する新商品を作れば道は拓ける。

 耕文社も1、オンデマンド印刷受注増 2、新商品の受注 3、月100万円超のお客様1人3社作るーを新営業方針としてスタートさせた。

 1.4兆円に比して幼虫売上の140億円はあまりに小さいが方向性は正しい。今後の大日印の新商品作りに注目したい。

朝の刷本搬出はオフ印刷物ゼロ

 10/1の印刷物搬出はオンデマンド印刷物だけ。オフセット印刷物はゼロだった。4tトラックドライバーの竹内登さんはガックリしていた。

 時代は変わったものである。以前は前日に刷上ったオフセット印刷物満載で意気揚々と出車していたが、本日は以前の5分の1程度の量しかない。運転の達人の竹内さんの意気も沈みがちだ。

 この惨状は私にとっては織込み済みの事態だ。先に行けばオフセット印刷物はさらに減る。その代わり減る分をオンデ印刷で補填していかなければならない。これも大変な仕事だが9月に定めた

「耕文社新営業方針」

1、オンデマンド印刷を受注する

2、新商品を受注する

3、月100万円超のお客様を3社とる

をやって行けばいい。時代に合わせていく。これで耕の体質もガラッと変わるだろう。