月: 2025年4月

±30%業績の上下は気にしない

 「前年比30%利益が減った」という決算結果が出ても私は屁でもない。これも30歳から引き継いで2代目社長を47年をやっているからだろう。

 経済新聞に「大幅減益-30%」などと出ていても「それがどうした」と思うだけだ。長期的には何ら影響はない。

 問題は大きな流れだ。何もしないで自滅の道を行くのは恐ろしい。みすみす分かって居ながら滅亡へ進むのは嫌だ。ではどうすべきか。

 結論を言えば「新聞を読む」ことだ。私は新聞が好きだ。ベタ記事の小さなニュースも見逃さない。それで大きな流れを感知することがある。

 先日亡くなったローマ教皇がゼレンスキィ・ウクライナ大統領に1年ほど前「ロシアに白旗を掲げよ」と言った。国民の命を守るには最善の道かもしれない。ここからの判断は当事者がすることだ。

 新聞を読んでいれば判断材料はそろう。あとは個人で方向を決断するだけだ。

前金のお客様は神様です

 かつて演歌歌手の三波春夫が舞台の真ん中で両手を広げて言った。「お客様は神様でございます」。これを私なりに解釈すると(入場料を前金で払ってくれた)お客様は神様ですーとなる。

 過去、手形の支払いで何度焦げ付きが発生したことだろうか。40万円、250万円、800万円。その度にびっくりして「手形の回収は慎重に」と叫んできたが、仕事が欲しいからついつい手形の支払いを受けちゃう。そして焦げ付きである。

 最近になって紙の手形廃止の動きが出てきて電債化が進んできたたが、これも支払い先延ばしに変わりない。現在、王耕では〆後90日以上の現金化支払いは受けないことにしている。おかげで毎月の手形残は200万円を切ってきた。昔は2,600万円ほどあった。

 最近、王は前金が増えている。「段ボール箱の代金なんざ前金で払ってもらいなさい」と私は言っている。

 焦げ付きはみるみる減少してきた。帝国データバンクによる760円のお客様信用度の簡易データ出力も頻繁にやられるようになった。データバンクの日報を読むのも1日のルーチンになってきている。

 これを1連の与信管理というが、これこそが営業の基本技術となるものである。前金による与信管理は痛快だ。

長崎は魅力ある県

 日本最多の1479の島を持つ長崎県は魅力的な県だ。私は長崎というと夢が広がる。ではどこで夢見るのか。東京駅の八重洲口北側にある長崎県アンテナショップでである。

 ごちゃごちゃ置いてある県産品を眺めていると「こんなものがあるのか」と感心する。県産の「そのぎ茶」は知らなかった。濃くて旨い。

 また私はカステラが好きだ。切れ端を集めたものを安いから買って食べると旨い。カステラの味が製造元によって微妙に違うのがまたいい。

 ランチに出しているサバのづけ丼は見た目は貧相だが味がいい。飲み放題のアゴの出しつゆを飲みながらご飯を頂く。

 50年前、字の上手かった母が長崎県選出の自民党代議士の郵送物の封筒の宛名書きをしていたことがある。相当年上の代議士の奥さんとは表千家のお茶仲間だった。当時は封筒書きをさせてもらうだけで名誉のことだった。その時は長崎県がこれほど面白い県とは知らなかった。

 アンテナショップのランチを食べるカウンターは「なんでこんな座りにくい椅子を並べてあるのか」。腰掛けると横に滑りそうな椅子だ。「こんな椅子捨てちまえ」。ブーブー言いながら食事をしている。

近いことが1番効率的

 当社は印刷会社が品川区、段ボール製箱会社が足立区にある。これほど効率のいい立地はない。この条件を生かして生産性を更に高めることは可能だ。

 ➀の労働力の確保 ②運搬費用で無駄な支出がない。この2点に絞るだけでそれぞれ5点ずつのアイデアが湧いてくる。

➀の労働力でも

イ、社員の他60歳を過ぎた契約社員 

ロ、時間で多様な勤務を希望するアルバイト・パート・内職などの区分別の採用を意識してやる。

②の運搬の合理化は可能だ。ただ私たちが王耕の強味を意識しないでいると何もアイデアは浮かばない。近ければガソリンの消費が少なくて済む。ここから出発して新たな効率UPは可能だろう。 

例えば現在6台ある営業の軽ダイハツハイジェット車を8台に増やす。

愛好家の発表会は生活の張

 中央線荻窪駅から歩いて10分の住宅街にあるミニコンサートホールに4/20行った。折りたたみいすが100ほどありグランドピアノの横で演者がフラメンコギターを弾いたり歌曲を歌ったりする会だ。

 出演者は皆素人だが向上心は人一倍だ。会に出ると後の反省が物凄い。「高音の伸ばし方が今一だった。次の課題だ」と意気盛んである。

 私は中央線文化圏という言葉をよく使う。育ちが世田谷、目黒だったせいか中野、杉並、練馬には別な文化圏があるように感じていた。その1つの例がこのホールだ。

 50代の女大家がホールを作って愛好家の集まる場所にしている。入場無料。1時間半の演奏はカラオケと同じだが、それをちょっと高級にした感じだ。単なる趣味で作ったホールか。私には到底できそうにない出費だ。

人間は2種類ある

 簡単に言えば①人をマネジメントしたい人 ②専業で1人でコツコツやって行きたい人―の2つである。比率で行けば➀が1だと②が5の割合だ。

 私が➀の部類に属するから皆➀かそれに近い人間だと思ってしまう。「君に将来マネジメント的仕事をやってもらいたい」というと2人から2日内に退職届が出てきた。

 これには参った。②の人がいかに多いか、②の人を尊重しないと会社は成立しない。ではどうするか。

 本人の意思を確認することだ。直近の上司に第1声で出たことを尊重する。それを説得で折り曲げないようにする。私が介入しない。

株式会社は(株)で良い

 私は株式会社とは書かない。㈱と書く。社名を強調するには㈱の方が分かりやすいからだ。会社の玄関の看板にも㈱耕文社と書体メーカー・モリサワの「Rゴジ」の小さな看板にしてある。王子段ボール㈱も同様の書体である。文字は分かり易ければいいのだ。正確に伝われば合格である。

 よく老舗の和食店や洋食店の店名で何と書いてあるのか分からないのがある。お客様に来てもらわなければ商売がスタートしないはずなのにまず入口で✖である。

 耕文社は1963年に設立されたときに父が世田谷区等々力の書家に書いてもらったものだ。隷書体で決して読みにくいものではなかったが、2022にモリサワ書体に切換えた。

 法人名以外の事業名でも共済(共済組合)、健保(健康保険組合)、生協(生活協同組合)などは略称だと分からないのでフルネームで表現した方がいい。ただ㈱と(有)有限会社は簡略を徹底すべきだ。

エネルギー多消費型は嫌い

 大阪万博で新機軸製品の「空飛ぶ自動車」が出るという。「なんで自動車が空を飛ぶ必要があるのか」と思ってしまう。

 昔、手塚治虫の漫画に自動車が空中を飛び交っている未来図があった。これはこれで楽しい空想の世界だったが、実際に1トンもあろう鋼鉄製の自動車を個人の趣味で空を飛ばす必要があるのか疑問だ。

 私はエネルギーを最小限に使う乗り物が好きだ。バス、電車のたぐいだ。1人当たりの移動エネルギーは乗車人数で割るとかなり低くなる。人間は自然の中で最小限のエネルギーを使って生きて行けばいいのだ。

 最近の車は個人の趣味を反映させて大型化している。なんでこんな大きな車で移動しなければいけないのか。20年前、ボロボロのスズキの軽トラックの助手席に乗った時、その乗り心地の良さに感動したことがある。

 炭を燃やして暖をとり、網戸で風を通して涼をとればいい。私の最終的理想の生活は「起きて半畳、寝て1畳」である。広い豪邸を見ると「掃除が大変だな」と思う。

 古くからの自然環境を残しながら人類が生きて行けば、人類絶滅の危機は更に先に延びるのではないか。

私は雑談の名人

 初対面の人と話を切り出すコツは簡単だ。

1、自分のことをしゃべる。(私は品川区の印刷業者です。年は77歳です)

2、自分のマイナス情報を話す。(印刷業界が「落ち目の三度笠」なので大変苦労しています。先月は社員が2人辞めました)

 これだけ言えば充分だ。相手はいくらでも話に乗ってくる。ポイントは本当のことを言うことだ。架空の話をしても話題が上滑りするだけだ。話しているうちにウソがバレてきたら信用を失う。

 そのうち相手も自身のマイナス情報を言ってくる。相手の弱みと見て、私はそこを突っ込むから話は盛り上がる。

 自身のことは一切語らない人に遭遇する。話題と言えば他人のことばかり。「○○さんは今癌にかかって大変だそうですよ」。こんなくだらない奴からは一刻も早く離れることだ。

 立食懇親会の時は孤独に立っている人が多い。「あなたのお仕事はナーニ。私は品川区の印刷業者」と声を掛ければ100発100中。笑顔で全員が話に乗ってくる。

 昔からの知り合いと話をしても新しい情報はゼロだ。面白くない。初対面の人こそ興味を持って臨める。

健康保険使える鍼灸接骨院

 左足の付け根の内側が痛くてまともに歩けない。ヨチヨチ歩きをここ3年ほど続けている。どこに行っても壁にへばりつく様に隅っこを歩いている。

 「いずれ回復するだろう」と思ってなるべく歩くようにしているが一向に良くならない。

 「接骨院がいいだろう」と思い五反田の院の戸を叩いてみるが、どうも集金を優先しているようで患部の説明をしてくれない。症状の推測もない、触診もやろうとしない。

 「これは駄目だ」と思い会社近くの鍼灸整骨院に行った。驚いたことに➀予約なし到着順の診察 ②健康保険適用 ③初めての私に院長が付きっきりで触診してくれた。これにはありがたいと思った。

 診断では「左足の付け根の筋肉が固くなっている。これを右足の付け根ぐらいまで柔らかくしないといけない」。クタクタになって院を出た。「ここに通えば少しは良くなりそうだ」希望を持てた。

 鍼灸院の名前はあみ鍼灸整骨院。

立食いそばは小諸そば

 4/8 五反田の小諸そばでもりソバと親子丼の「満腹セット」820円を食べた。実に旨い。つゆはちょうどいい辛さである、ネギは入れ放題、ソバはいい味だ。親子丼の鶏肉と卵は結構量がある。

 セット物にしては豪華な組み合わせだ。遅い仕合せな昼食だった。

 私は「立ち食いは小諸が1番」と思っている。他の立ち食いには入らない。

 静岡に行くと「戸隠そば」に入る。駅ビルと市役所前の店によく行く。ここで「ネギ多め」と注文する。「もりソバでこういう楽しみ方があったのか」と思う。ともかく東京で食べているもりソバとまるで違うのだ。そばが「つるっ」としてつゆは文句なしに旨い。静岡に行けば必ず2回戸隠のもりそばを食べる。

 小諸、戸隠と長野県の地名だが、現地で食べて旨いと思ったことはない。

 東京でもりの旨いのは1、神田のまつや 2、浜松町の更科だ。蕎麦屋に新しく入ったなら、まずもりで味見している。

固定電話1千万件割れ

 1990年代後半には6千万件あった固定電話が今年2025年度末には1千万件を切るという。時代の流れではあるが私自身スマホの恩恵をかなり受けている。

 王耕の特徴は「スピード応対」である。

スピード応対の中味は

  1. 返電は1分内
  2. 見積りは当日中
  3. 見本提出は翌日中

中でも重要なのが1の「返電は1分内」である。お客様との直の会話が1分内に実現すれば話は早い。

 「段ボール箱100枚を明日中に本社に持って来てくれ」「承知しました。図面は2時間内にメールします。料金は2.8万円です。ありがとうございました」。こんな調子で商談は2分で終わる。

 王耕ではすべての連絡はスマホでやる。名刺にはスマホ番号と顔写真がデカデカと載っている。電話交換手は居ない。社員に電話取次の仕事はない。直接本人同士で取引を完了する。だから会社は儲かるのだ。

 私の携帯電話の歴史はいずれも会社で実施だ

61歳 初めて携帯を持つ

71歳 ガラケーをスマホに交換

77歳 第2世代のiphon seに交換

 「通信手段の変遷にうまく乗ってきた」と我ながら思っている。

 「最盛期の1962年18万人いた暴力団員が1万人を切った」というニュースと同様に、固定電話1千万件割れなどは私にとってどうでもいいニュースだ。

長瀞で鮎の塩焼き食べた

 4/5 埼玉県熊谷駅から秩父鉄道で長瀞に行った。私は長瀞が好きだ。こじんまりとした観光地で北の山に登れば宝登山神社、南は渓谷の長瀞岩畳だ。

 6年前神社の前の広場で「小遣い稼ぎでやっている」と言うお婆さんがドラム缶に炭を入れて鮎を焼いていた。横に座り込んで40分ほど話し込んだ。この間私が来客の邪魔をしていたのか1本も売れなかった。

 私は1本(500円)だけ買って美味しく食べた。「なんであの時4本買って好きなだけ食べなかったのか。カネを惜しんで婆さんの売上に貢献しなかったのか」と長い間悔やんでいた。

 今回は足が悪いために山には登らず南側の渓谷に行く途中の食堂で鮎3本食べた。観光案内所に行って「神社の前で今日はお婆さんが鮎を焼いていないか」聞いたけど「分からない」という。時が過ぎれば状況も変わる。

 6年前は「鮎を焼いていると嬉しい」という婆さんとの会話が楽しかった。その思い出だけで充分と思うべきかもしれない。

 長瀞は焼きだけの加工業者の集まりだ。滋賀・琵琶湖、岐阜、高知・四万十川、宮崎など全国から鮎を仕入れて食堂で出したり、甘辛に煮てパック販売している。

会社を買う楽しみ

 「オフセット印刷業だけでは未来はない」と思い出したのは今から30年前の47歳の時だ。かといって次にやることは分からない。ともかく銀行、M&A仲介会社に「包装資材の製造会社に売物がないか」注文を出した。

 最初に来た物件は地銀紹介の静岡県の段ボールシートメーカーだった。早速現地に行って工場の周りを歩いた。平屋の屋根の高さが10㍍ほどの大きな工場に「自分には手に負えない」と思った。その後30カ所ほど物件を見て回った。

 検分の手口は「紹介を受けて2日内に現地で外観を見る」だ。これが結構面白い。工場の壁の汚れ具合からその会社の歴史を読み取れたり、通勤交通手段で実際に歩いて行く。

 王子段ボール㈱は13年前に買った会社で黒字に持って行くためにえらい苦労をした。売り物件紹介は相変わらずボチボチ来ている。77歳だが売り物件1周外観観察を再開しようと思う。

高層階の揺れは不気味だった

 35年前、新宿西口の高層ビルの上まで登り階段を1階ずつ降りる飛び込み営業をやっていたとき地震があった。

32階に居たが床がゆっくりと2㍍ぐらい水平に動いている。初めはよく分からなかったが若い女子社員がエレベータ横の太い柱にしがみついているのを見て「これは大きな地震だ」と分かった。俄かに恐怖に包まれ一刻も早く1階に下りた。長周期地震の初体験だった。

 考えられるのは①高層がポキット折れる ②下層階が崩れる―の状況だ。今回のミャンマー地震で高層階の住民は住めなくなったという。

 当社の経理監査をしている西沢先生は3年前に区分所有で得た高層階の部屋を売って低層階に引越しした。流石先見の明をお持ちだ。

 私の住んでいる東京オリンピック(1960年)に立ったボロマンションは鉄筋コンクリート7階建てだ。私はその7階に住んでいる。部屋はゴミ屋敷だが窓が大きく快適だ。地震が来たら分厚い鉄筋コンクリート壁に身を任せていればいい。

「首相は1回やれば充分だ。

(自民党)幹事長は何回やってもいい」と言ったのは田中角栄元首相だ。あの田中先生にして首相は1回で充分らしい。

 これを聞いて私は「なるほど」と思った。やはり拘束される時間の量が違うからだろう。特に議会・委員会に縛られる時間は大変な量だ。

 中小企業の社長業の魅力の1位は時間が自由になることだ。2位金持ちになれる。3位決め事を自分で決められるーなど魅力満載だが、やはり何といっても1位の時間が自由になるーが最大の魅力だろう。

 私の場合は

6:00 出勤   誰もいない事務所で、おにぎり、菓子パン、牛乳で朝飯。新聞を4紙(毎日、日刊工業、日経、日経MJ)読む。社員とキャッチボールしてフォーマットづくりをしている書類は赤字を入れて返球する。

12:00 外出   神田駅・大井町駅近辺で1人昼食

この間 散髪、喫茶、会合参加

16:00 王管理課幡野早織さんに電話を入れ

本日の目標  1、段ボール発注㎡数=1.8万㎡

       2、受注件数=60件

        3、新版件数=14件

達成度合いを聞く。大体1-3の数値は連日クリアー。

16:30 帰宅

 毎日スマホで社員8人と長時間会話 これが結構面白い。

将来楽しみな日刊工業新聞

 日刊工業新聞を購読して30年になる。昔、大日本印刷市谷工場長をされた山辺巌先生(2015に90歳で死去)に経営指導を受けていた時「日刊工業ぐらい読まないとだめだよ」と言われたのが購読のきっかけだった。

 製造業者を主要購読者として個別具体的ニュースが大量に載っている。毎日32ページの紙面は読むのが億劫になることもあるが、注目すべきニュースを見つけ出すこともある。日刊の記者は日本経済新聞の記者の3倍の行数を毎日書いているのではないか。

 地味な業界紙がじわじわ力をつけて来て発行部数でトップを交代することもある。

 最近はマツダ自動車の動きが面白い。トヨタ、ホンダに似た新車をどんどん発売している。マークを見ないとどっちの車か分からない。この臆面もなく他社に似た車を出す姿勢に感心している。

 私はいいことだと思う。損益さえバランスさせていれば3番、4番手が車体デザインを流用して上に這い上がるチャンスである。