高齢社長の仕合わせな日々 725 | 2025年10月8日

座る時、椅子の端を掴む

 眩暈(めまい)で転んだらお終いだ。骨折でもしたらその後が大変だ。右手で椅子の板を掴んでから椅子に座る。私にはこんな自己防衛策が身についている。

 手で1カ所手すりを掴み両足で踏ん張る「3点支持」で駅の階段を上下している。スピードよりも安全だ。腰掛けるときは右手で椅子の板を掴んで座る。

 横断歩道では歩行者信号が青になってから渡る。青の途中で歩道に入らない。ヨチヨチ歩きだと赤に変わる寸前にやっと反対の歩道にたどり着く。情けないがしようがない。

 年寄りは1つ1つ新しい安全方法を決めて実行しないと生きて行けない。

 96歳で亡くなった母は長いこと大きな家で1人暮らしをしてきた。夫婦仲は決していい方ではなく父(88歳で死去)は家を出てマンションで1人間借りしていた。

 実家に行くと母が書いた貼り紙があった。「アンチエイジング」ではなく「ウイズエイジング」とあり自分なりに工夫して生活しているのが分かった。老化に対抗していこうではなく、年令に従って行こうという意味だ。

 口やかましい母だけに貼り紙を見て私はニヤリと笑った。