奮闘してきたビジネスマンがトコトンやり続けて出てきた最後の言葉だ。こういう男は善意の人間だ。しかし脇目も振らず突き進み過ぎた。これはいけません。それではどうするか。いい加減にではなくて、いい頃かげんにやることだ。
昔、新聞社に給料袋の明細を糊とハサミで切り張りして小遣いを抜いている先輩がいた。使い道は競馬だった。口癖が「いい頃かげんにやる」。私は人間味ある15ほど上のこの人が好きだった。
それ以来「いい頃かげん」が自分にも身についてしまった。自分は要領よく手を抜いて、一心不乱に仕事に突き進みそして疲れちゃった人間には大変な好意を寄せる。
そういうずるい人間になってしまった。ずるいが長生きの秘訣でもある。