高齢社長の仕合わせな日々 766 | 2025年12月12日

足より人生に疲れた

 眩暈  (めまい)の中トボトボと街中を歩いていると、さすがに疲れて喫茶店に入る。ここは日本橋。「珍しいじゃないの」老ウエイトレスが近づいてくる。「足が疲れたというより、人生に疲れたようだ」「何かあったの。どうして、どうして」。こんな茶番やり取りが最初の挨拶だ。

 私はコーヒーではなくクリームソーダーを注文する。

 昭和枯れすすき(さくらと一郎、1974年レコード150万枚売上、1975オリコン年間ヒットチャート1位)の迷文句を私は「バカの典型だ」と言っている。「負けた、負けた。世間に負けた」。世間が悪い、自分は悪くない。こんな人間は救いようがない。「自分が悪い」と思わなければ改善しようがない。

 「人生に疲れた」と言って喫茶店に入る私は高齢だ。無理をしないでひたすら長生きを目指しているただの老人なのだ。