高齢社長の仕合わせな日々 69 | 2022年9月12日

勢力交代する印刷業界

 印刷機メーカーが主催する箱根1泊ゴルフ会に参加した。同社の機械を愛用している全国の印刷会社20社が参加した。

 参加社全体の空気として感じられたのは「これからの印刷マーケットがどうなるか分からない」―という迷いであった。ある中堅老舗会社の会長が「お宅はこれからも印刷業をやって行くつもりか」と聞いてきた。この問い掛けには驚いた。私は「マーケットに合わせて営業品目を変えてやって行く」と応えた。

印刷業界は①②の順で20年単位で流行があった。

① 40年前、オフ輪台数の増加=現在全国で1,400台有るが、500台で適正ともいわれている。一旦設備してしまうと後戻りが難しい。

② 20年前、UVオフセット機が印刷機の主流になった=印刷物の速乾性が魅力で「我も我も」とUVに移行した。 だが材料コストが従来の油性印刷機の3倍かかる。当初は「材料代は油性並みに下がる」と見ていたが、熱照射でゴムローラーの傷みが激しくなるなど必要費用が増えることもあり材料コストは下がらなかった。最近は油性機に戻す動きが出てきている。

 当社は①②双方の流行に乗らなかった。もし一旦設備してしまっていたら、私だったら①オフ輪工場の閉鎖 ②UV機の売却をやる。見切り千両だ。

 てなことで億単位の設備投資をしてしまった会社は元気がなくなり、自己資本比率90%の当社は変わらず元気だ。「リコーのデジタル印刷機を500万円で買った」と言ったら他社は「そんなにデジタルの仕事あるの」と驚いていた。

 マーケットに合わせることに腐心し、最初は外注さんに作ってもらうべきだ。余程のことがない限り億単位の設備購入に耕は行かない。

 業界の集まりで、私の声は年ごとに大きくなっている。