渡辺直喜

写植機発明100周年記念パーティに出た

 書体メーカーの㈱モリサワが主宰するパーティが7/24大阪のホテルで開かれた。800人が全国から集まり100年を盛大に祝った。

 印刷業者にとって邦文写真植字機は印刷の重大なツールであった。業界は写植機とともに商売をしてきた忘れられない歴史がある。

 写植機はパソコンに入れ替り、印字技術者の作業形態は様変わりした。モリサワは新デザインの文字を開発する方向に転換して年間20書体の新文字を世に送り出している。年1本4万円前後でリースする優良企業に発展した。

 名刺交換した人にコリアフォントアソシエーションの議長がいた。「今日は韓国から20人来た。我々はハングル文字の新デザインを作っている」という。モリサワの韓国支社のようだが、全世界文字のあるところすべてでモリサワの新デザイン開発の手法が通用する。

 10年前モリサワの文字リースのビジネスモデルを聞いて私は「これはやればやるほど儲かる」と思って感心した。耕文社は1本年3.9万円×10本=39万円をモリサワに支払っている。国内だけでも1,000社とリース契約を結べば3億9千万円の定期収入になる。

 フォントを使う業界は印刷に止まらない。あらゆる業界は販促のために適切なフォントを使う。食品・ゲーム業界などなど。更に外国でも必要とされる。お客様は増える一方だ。

 ポイントは毎年新フォントを送り出す開発力があればモリサワは必要とされる。

段ボール形状デザインは有料

 お客様から商品固定用の箱内のデザインを当社営業が頼まれることがある。王営業は「良いサービスができる」と思って数種の仕切りを提案する。無料でやっている。

 これじゃ儲からない。斬新な商品固定形ができればそれはお客様のノウハウになる。いわばお客様パッケージングの財産になる。王営業は「安易な提案」と思ってはいけない。有料にすべきだ。

 商品固定法はお客様の個性となる。「重要なご下問を頂戴した」と思って真剣に①資材を無駄に使わない②堅牢に固定できるデザインを提案すべきである。

 もし当社提案をお客様が使って下れば王子段ボール㈱にとってこの上ない名誉である。

「㈱トーモク優良」の理由分かった

 ひとえに中橋光男社長の課題達成経営の結果である。段ボール原紙値上げが来ればそれと歩調を合わせてトーモクの売値を上げてしまう実行力が中橋さんにはある。

 他の段ボール大手はぐずぐずして値上げ日が決まらない。半年遅れの値上げということもある。これで年間の利益%が大きく違ってくる。

 既存客に逃げられないような早期値上げ完了の手順は私には分からない。中橋社長は「付加価値の高い段ボールを作ることが値上げの理由にできるが、その開発はすぐにはできない。だからお客様には値上げをお願いするほかない」という。

 物流は「日本1の生産能力を持っている館林工場では段ボールの搬入搬出も効率よく行われている」。

 まず①利益を確保→②効率いい工場建設→③社内課題解決して利益を増やす-と言った図式でトーモクさんは動いている。

 女社員の採用にも力を入れ営業の40%が女性である。先に、先に手を打つことで他段ボール大手より2%多い利益を確保する体質になっている。詰まる所トーモクさんはスピード応対をすることで他大手を引き離している。

 ついでに申し上げれば王耕はどうやって成長するかと言えば①スピード応対と②新規開拓力で確実に成長できる。

この人、何で食べているか

 東京商工会議所品川支部の夏季交流大会が133人を集めて開かれた。一言で言えば、何で食べているのか分からない人が多かった。

 「ITソフトを開発している」「業界はどこを狙っているの」「今探しているところです」「それじゃ食べていけないでしょう」「・・・・」。こういう会話は好きだ。収入はなくとも夢はある。

 英会話を教えている。「生徒を集めるために自分で作ったチラシを自分でポスティングしている」50ぐらいのおばさん。正直な人だ。話していて気持ちがいい。

 オレンジジュースを飲みながら会話に専念した。私は「76歳だ。やっと生きている。印刷業はダメだ。マニア向けのシールを作っている。こっちは儲かっちゃってしょうがない」。支離滅裂の自己紹介だが相手はニヤニヤしながら聞いてくれる。面白い会だった。

製版フイルム、終売に

 富士フイルムの子会社が「アナログ版に使う製版フイルムの製造を中止する」と発表した。長年印刷業界で中心工程であったフイルム製版が全く姿を消す。

 アナログ製版フイルムの出荷のピークは2000年だった。以降は急激にデジタル製版CTP化が進行し24年経ってアナログ製版フイルム製造はゼロになる。世の中の流れだから仕方のないことであるが、29歳から印刷業界に身を置いてきた私は製版には特別の思いがある。

 終戦後、町には製版専業の中小企業が林立していた。ほぼ手作業の製版技術によって印刷物の精巧さがものの見事に変わるのを私は目の当たりに見てきた。「印刷技術より製版技術で印刷物の品質ランクは決まる」と思った。だから新機能を付けたオフセット印刷機が売り出されても気持ちは動かなかった。

 製版の重要さが身に染みているから当社制作課の都築明彦さんの「色調補正」の技術は現代のポイントとなるワザである。デジタルによる「色調補正」こそが印刷物のランクを決めるのだ。

 となれば退職しないよう私は都築さんの腕をしっかり捕まえておかなければいけない。

愉快な銀行懇親会

 適当におかずを摘まんで参加者と交わす会話が私には愉快だ。7/17高輪グランドプリンスホテルで商工中金大森支店の懇親会に参加した。

 気分の高揚とともにビールを飲みたくなりサッポロビール中瓶を空けた。酒に弱い私は酒を飲むのは3週間ぶりだ。適当に暇そうにしている人に声を掛けて回るのは楽しい。

 「私印刷業です。注文が減っちゃって落ち目の三度笠です」「以前名刺交換しましたよ」「すみません忘れちゃいました」「あなたのお仕事は何でしたっけ」「貴金属加工業です」「あーあ、お婿さんでお嫁さんの実家の会社に入った人ですね」。

 私はなかなか顔を覚えられない。人の顔と名前が一致しないので何回も名前を聞く。しかしその動作は決して悪くない。忘れたことを確かめ合うだけの会話も貴重だ。

 商工中金は来年、持っている政府株をすべて政府に引き取ってもらい民営化する。民営化されたからと言って当社にはあまり関係ない。なにせ借入はゼロなのだから。

 ワーワー言って酒と豪華な食事を頬張る。誠に仕合せな高齢社長のひと時である。

他業界誌にうなずいた

 月刊「建設潮流」という新しく創刊された業界誌が送られてきた。建設業界の効率UPの記事が多く、前向きな内容に感心した。

 日常行動の中の無駄の例があがっている。①地鎮祭②井戸のお祓い③(安全祈願の)お守り④「ご安全に」という建設業界特有のあいさつ言葉。

 廃止されるもの、存続するものに分かれていくが印刷業界にはこのような特殊な習慣は少ない。新しいオフセット印刷機を購入すると修祓式という式典が行われるぐらいだ。機械メーカーの強力なお勧めが切っ掛けだ。これも絶対挙行すべきものではない。

 不要なものを捨てる動作は必要だ。ドンドン捨てるべきであろう。それこそ社員のアイデアである。英断と言ってもよい。捨てる動作から新しく始める動作にはいれる。

 月刊「建設潮流」も建設業界に新風を吹き込む動作をやって行かないと部数は増えないだろう。

自宅サッシ更新

 私の住んでいる築60年のマンションはコンクリート壁が厚いのとサッシが頑丈なのが特徴だった。30年前46歳の時にこの中古物件33㎡を買って住んでいる。

 この度大規模修繕が始まった。ペンキの塗足しが中心だが私は6面ある大きな窓のサッシの入れ替えを業者に追加注文(280万円)した。驚いたことに新しいサッシの頑丈さは想像以上のものだった。5cmもあろうかと思われる窓枠は現代の高層ビルでは必要な強さだろう。余程頑丈なものにしないと高層の窓は風に耐えられない。  

 私はクーラーが嫌いだ。金網から入る外気は将に「極楽の余り風」だ。昔、路地の縁台に腰掛けて涼んでいた老婆はこう言って通り抜ける風を喜んだ。

 金鳥蚊取り線香を焚いて余り風に身をさらしていると「生きていて良かった」と思う。夏を快適に過ごせる私は恵まれた老人である。

 そして余程暑いと風呂場で水を浴びる。2回ほど。気化熱で体温が下がる。

相変わらず面白い全学同窓会

 7/13(土) 東京駅近くで開かれた大学同窓会に参加した。全10学部400人。老いも若きも出てくる会は最後の1.5時間の懇親会が面白い。

 「私はゴミと言われている経済だ。76歳だ。あんた学部はどこだ。俺よりだいぶ若そうだな」。この大学の花形は「医学部と工学部だ。ほかの学部は付け足しだ」。こんな風に話を切り出すと知人がいないほとんどの孤独な参加者は全員が乗ってくる。

 いつもの通り自分の不利な話を並べたてる。「印刷業だ。落ち目の三度笠だ。やはり世の中の大きな流れには逆らえませんな。印刷はもう駄目だよ」。これだけ言えば相手は目を輝かせて話に応えてくる。

 8歳上の薬学部出身のお婆さん(84)がいた。「女でよく(大学に)入ったねえ」「私勉強が好きだったの」「それは凄い。でも当時、女子学生はいなかったでしょう」「そんなの関係ないわよ。私はやりたい勉強をしてきた」と勢いはいい。

 元気だから同窓会に出てくる。自分勝手に好きにしゃべっている姿はいいものだ。

パリ祭で大騒ぎ

 7/11後楽園のCITY HALLで開かれた62回パリ祭を見た。60人のシャンソン歌手が11,12日の2日に分かれて歌いまくるという催しだ。

 何せシャンソンだから高齢歌手と観客ばかりだ。「今更シャンソンでもないだろう」と思いながら毎年行っている。

 歌手は日頃の鬱憤を晴らすように声を上げ、1,000人の観客は1番の服を着てくる。お互い「晴れの舞台」なのだ。私はその雰囲気が好きだ。安奈淳(77)は背筋が伸び見事な歌声を披露してくれた。

 2時間のショーだが疲れた。「1時間聞けば十分だ」と思いながら満員電車で帰宅した。

売上高と経常利益だけ見ろ

 企業会計ではいろいろな利益がある。①総利益②営業利益③純利益。これらをいちいち見る必要はない。売上高と経常利益だけ見て、前年比較をやれば凡その動向はつかめる。

 2024.5.20の決算は

㈱ 耕文社

 当期売上高  9億7810万円(前期比 +1.2%)

 前年売上高  9億6659万円

 当期経常利益 9091万円(前期比 ー4.9%)

 前年経常利益 9562万円

王子段ボール ㈱

 当期売上高  5億9258万円(前期比 +6.8%)

 前年売上高  5億5443万円

 当期経常利益 4450万円(前期比 +54.2%)

 前年経常利益 2885万円

空飛ぶ車は愚

 これからは人1人当たり必要とするエネルギーを減らす方向で技術革新を進めるべきである。

 自動車は道路を走って移動すればよい。なにも車体ごとと空中を飛ぶ必要はない。それにはトンデモナイエネルギーを必要とする。車1台は凡そ1トンとみて1トンを空中に持ち上げて人間1人を移動する必要などは全くない。

 企画マンが空飛ぶ車のアイデアを国の役所に持って行ったところ担当者は大いに賛同したという。その辺から間違っている。

 国全体が省エネを大方針として政策決定をすべきだ。無駄なエネルギーを使っている項目は片っ端から否定してかかるべきである。例えば温暖化の材料となるものは1つずつ減らしていけばいい。10のエネルギーで10人が快適に過ごしていたなら10で100人が快適に過ごせるようにすべきである。

 人の知恵はいくらでも応用が利く。空飛ぶ車は愚である。

俳優の浜畑賢吉さんが亡くなった

 81歳。都立広尾高校の先輩で日本橋の和食店にお招きしてお話を伺ったことがある。

 浜畑さんと言えば1968年連続テレビドラマの「進め!青春」の熱血教師役で一躍人気俳優になった。清潔感ある持ち味に私もテレビにかじりついた。

 後年浜畑さんは大学で演劇論の講座をもって厚い本も数多く出され、私も3冊ほど頂戴した。

 俳優は終生俳優でやって行く人、芸能事務所経営に軸足を移す人、脚本・小説・作詞・作曲家になる人いろいろだ。浜畑さんは持ち前の生真面目さから教育の道を選んだ。

 私にとって浜畑さんは清潔感ある良き先輩であった。

㈱トーモクさん研究

 段ボール業界が需要不振にあえいでいる中でトーモクさんだけが順調だ。その理由を知りたい。早速2023.8.31調査結果の資料をTDBから取り寄せた。

  1. 東京プライムに上場、TDB評点 71
  2. S24.5 東洋製缶㈱小樽工場木工課が出発点

  S31.1 小樽段ボール工場開設

  S34.5 横浜、36.8札幌、37.2大阪、45.11九州工場開設

  S46.1 東洋木材企業㈱→㈱トーモクに商号変更 全国に段ボール工場を作ってきた

3、メインバンクはみずほ銀行

4、製紙、段ボール大手にも属さず独立系としてやってきた

5、社風は実力主義が貫かれている模様

 好感の持てる会社である。行く末をただ眺めているだけでもいい。参考にして行きたい。

運送業はやりたくない

 今1番やりたくない商売は運送業だ。トラック輸送が中心となって排気ガスを振り撒いている。物を運ぶためとはいえ代償が大きすぎる。排気ガスをばらまいて売上目標を達成しても「果たして良かったのか」と思ってしまう。

 関西の工作機器や家庭用機器などを取り扱う専門商社である㈱山善は商品運送手段をトラック→鉄道・船に切り替えている。運送全量の50%を鉄道・船に切り替えることを目論んでいるが「10tトラックを必要台数確保できていないのがネック」になっているという。

 山善の方向性には賛同できるが他社の「すべてトラック輸送」を前提としたビジネスには着いて行けない。神奈川県では運送会社が2,000社超あるがすべてトラック輸送だ。

 6月に狭いところに入れない4t車を2t車に買換えるために5社見積りをとったがいずれも600-700万円だった。高額なトラックを買って利益が出るのか不明だ。結果としては2t車への買換えは中止した。

王=2t、2t、2tロング

耕=4t、2t

 「運送業はいやだ、いやだ」と言いながら王耕で現在5台のトラックが稼働している。今私にできることは売上が増えてもトラックを増やさないことだ。

重要視されるFSC認証

 FSC認証は環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組みーである。

 ローソンさんは2050までに環境負荷をゼロにする方針だ。FSCは負荷ゼロの有力な指標となる。販促物にFSC認証のマークを入れることが各方面から要請されてきている。

 様々な認証があるがFSCは本物である。担当は版面が出来上がった後FSC認証の承認を本部に申請する。承認を受け次第印刷に入る。

 1手間増えるが販促物として環境負荷ゼロに向けてお役に立てれば名誉なことである。

お客様に切られる道

 「この業者はダメだ。使えない」と担当者さんが思ったら発注はなくなる。私は47年間印刷業に携わってきて何度切られてきただろう。最初は切られた理由が分からないまま「発注停止」を受け入れてきた。理由を追求することなく時間を過ごしてきた。これではいくら新規お客様をとって同じ回数発注停止を食らっていたら売上は増えない。

 そこで行き着いたのが再発防止策だ。しかも絶対再発防止になる対策でなければならない。上位の人間が生半可な気持ちで建てた再発防止策ではすり切れたクラッチのように運動エネルギーが車輪に伝わらない。絶対効果が発揮される再発防止策を立てるには長年の勘が必要だ。

 私はその勘を身に着けたのは50歳を過ぎてからだ。例えば①誰が原因か②どの動作が間違っていたのか③ジャー、どうすればよいのか

 今回の加工課の帯に250枚と書いて200枚しかなかったクレームの再発防止策は「員数検査係を置く」というものが出た。

 私は「1つの案である」と思った。やってみる価値はある。そして何よりも重要なのは同じミスをする社員は退職してもらうことだ。

前年比で実態分かる

 王の外注さんへの丸投げ発注で有村紙工さんにお願いした額が前年(2023.6)が506万円だったのが今年6月は199万円の61%減であった。

 これは担当の菅原功さんが外注額が1社に偏るのを避けるため意図的にやったことだ。有村さんに全丸投げ額の67%お願いしていたが今年(2024.6)は42%に下がった。

 すべて資料は前年比で出すと傾向が分かる。目標比は希望的数字を基礎にするからデータとしては使えない。

 前年数字を入れた外注丸投げ表は7/1菅原さんが再送する。

活発な広尾高校同窓会

 渋谷区にある都立広尾高校の同窓会が6/29隣の國學院大學集会所で開かれた。

 母校ながらいつも感心するのは同窓会組織がしっかりしていることだ。①新年会②総会③ちゃちな旅行会(たとえば高幡不動見学会)④運動会見学ーなど盛りだくさんだ。

 私は①と②は毎年参加している。その度に名刺を配っている。「渡辺さんの名刺は4枚ありますよ」という老女には「5枚溜まったら粗品を差上げます」と言っている。

 同窓会催しが多いだけで「広尾を出てよかった」と思っている。

中小企業家同友会の懇親会に参加

 6/27イタリア料理店大井町バルサルで18人が参加して開かれた。40,50代中心だが話は面白い。

 60ぐらいの女社長に「亭主は何やっているんだ」と聞くと「離婚して私の下で働いている」。こういうケースは多い。

 亭主が不甲斐ないと「首にした」不動産屋の美人社長が過去に居た。男もオチオチシテいられない。男も女もない。企業家精神の旺盛な方が舵を取っていればいいだけの話だ。

 料理はおいしかった。珍しく夕飯で大量に食べた。

声掛けの喜び

 「申し訳ありません。竹内さん(61)昨日床屋に行ってしまいました」「いちいち言わなくていいですよ」「やっぱり、竹内さんに報告しないといけないと思って」。髪が長めの竹内さんには「髪を短くしろ。短くしろ」と折に触れ申し上げている。

 当方は「どうしても短くしないといけない」とは思っていない。会話のきっかけづくりのための私の声掛けである。大声で言うから誰にも聞こえる。竹内さんはウンザリシテいる。

 「君の字はいいね。決して上手いとは言えないが筆圧が強いから読み易い。立派な字だから直す必要はないヨ。こんな字の葉書が来たら喜ぶだろう」「ホントですか。自信が付きました」とデザイナー。

 こんな会話を日に5,6人とやっている。

私は思ったことをそのまま相手に伝えているだけだから疲れない。ポイントは

①思ったことをそのまま言う。

②大声でやる。誰はばかることなく大声を出していれば私の健康に悪いわけがない。大声だから公平だ。

③会話は短時間で終わらす。

この①②③を毎日やっていると1日が面白い。

芥川製菓様が振込になった

 12年前、㈱耕文社が王子段ボール㈱を買収した時はチョコレート菓子メーカーの芥川製菓様は売上の80%を占めていた。段ボール箱のほかチョコレートの箱詰めも請負っていた。支払いは4ヶ月手形。手形残は5千万円近くあった。当時「芥川様が倒産したら王子も倒れる」と恐怖の中にあった。

 その後箱詰めの仕事は返上して芥川様への依存度はかなり減った。それでも担当営業の芝崎孝一さんは「手形の短縮」をお願いし続け今回の手形廃止になった。新しい支払は「末締めー50日後の振込」である。

 芥川様の決断とはいえ「おめでたいこと」と思えてならない。取引額はかなり減ったが王は安心して仕事を請けられる。元々芥川様はTDB(帝国データバンク)評点57の優良企業だが今後は短期決済でさらに優良になられるだろう。

 ちなみに王の現在の受け手形残は14万円である。12年前は7千万円あった。

現金残580億円のアスクル

 これには驚いた。2024.1月に金融機関からの借入ゼロになった王耕は鉦や太鼓をたたいて喜んだ。「現預金がいくら貯まったとはいえ株や債券で運用すべきではない」という西沢良一顧問会計士の指導により当座預金にチマチマ貯めている。現在の王耕合わせた現預金残は3億円である。一方アスクルは桁違いの580億円である。

 現金を貯めるのは代表の性格による。貯める人間は貯め、貯められない人間はいつもスッカラカンだ。貯っていく過程は周りには分からない。アスクルは「いつの間にか現金残が580億円になった」という感じだろう。

 アスクルは現金の使い道を①倉庫建設 ②営業所開設など挙げているが580億円に比べれば掛かる費用はたかが知れている。現社長のもとでは「出金(でがね)は最小限に抑制され」結局は更に現預金は増え続けるであろう。

 そこが面白いところだ。社員は血を吐くような努力をしている訳ではない。すべてが「いつもの通りにやっていると現金は増え続けてしまう」結果になる。

 昔から思っていたことは「世の中には①土地を買う人と②売る人の2種類しかいない。自分はどっちに入るか」。こう設問してきた。

 しかし問題はそれ以前にあった。印刷業から利益が出ないのだ。どうやったら利益が出るようになるのか分からなかった。利益が出ないから借金返済の自信もない。幹線道路沿いに土地を買う決断もできなかった。

アイデア賞は宝の山

 スローガン制定から半年もたって全社共有の「アイデアで楽しく稼ごう賞」を初めて読んだ。面白い。

 社員から出たアイデアを第1ステップとして上司が第2ステップの完結まで持っていけば大変な効率UPになる。上司が効率UPのルールを作ることがポイントだ。

 例えば鈴木崇さんの「営納でかなりの予備枚数が付いていた」とあるのは

  1. 鈴木崇さんが納品票・予備枚数表作る。
  2. Fグルアーの茂田・藤井さんがA4の納品票に「○○様、品名・△△枚、予備□枚」と大きく書いて荷に貼り付ければ完璧なルールになる。
  3. 作り過ぎた予備は直ちに廃棄する。

 アイデアの顛末まで持っていくために全社共有の「アイデアで楽しく稼ごう賞」に顛末欄を1つ増やした。顛末は署名を付ければ誰が書いてもいい。

分かり易い話は名講演

 6/20西新宿のホテルで開かれた成城ロータリークラブ卓話の会に参加した。講師は杉山晋輔元駐米大使。

 米大統領選は有権者の投票結果は、州ごとに集計され、勝利した候補がその州の「選挙人」を獲得する。「選挙人」は候補者に投票すると誓った人のことで、投票や指名によって民主・共和両党から選ばれた538人だ。おおむね人口に応じて50州に人数が割り振られている。
 大統領に選ばれるには、この「選挙人」の過半数の270人を獲得する必要がある。

 杉山さんの説明は手順が良く私でも理解できた。以前まるで底の浅い話を繰り返す元大使に閉口したことがあった。「外務官僚は話下手」と思っていたが人によりけりだ。

だんご屋でお握りを買う

 早朝スーパーでお握りを2つ買い、社で海苔1帖を半分に切ってお握りに巻いて食べている。これが毎日の朝食だ。

 海苔とはこんなにも食欲をそそるものなのかと今更ながら感心している。

 都営浅草線中延駅を出たところにだんご屋がある。暗い小さな店だが数十年前から大福を買っていた。「そうそうここにだんご屋がある。ここで買って家に帰れる」と今更ながら思い出した。浅草線で中延から高輪台駅まで行って、自宅まで歩いて12分だ。

 中延駅前のだんご屋で「この店は古いんでしょ」と言うと「60年だ」という。「こういう店があるとありがたいです。私は酒がダメなので」。女将は「また来てくださいね」。こんな風に言われると元気が湧いてきた。

 翌日買ったお握りを社で食べた。たらこや梅が大量に入っていてこれが結構しょっぱい。ご飯はスーパーの倍だ。味で提案があれば女将に言えばいい。個人経営の店は買物をして楽しい。

新版取って未来を拓く

 新版とは単純増刷以外の仕事を言う。

 10年前に開拓され会社案内しか発注されなかったお客様Aからパッケージの受注があったらこれは新版という。A様からはパッケージの仕事がかなり増えるかもしれない。期待するのはいいことだ。

 お客様が主たる営業品目を代えて行けば王耕も作るものを代えればよい。①見本作成数 ②新版数は受注傾向を如実に表している。受注が少なくても①②が目標以上なら未来は明るい。私が精神安定しているのは毎日①②の数字を見ているからだ。

 新版によって王耕は製造品目をいくらでも変更できる。外注さんにお願いできるからだ。最近の例では黒色の段ボール箱が好評だ。黒箱が極端に増えたら黒ライナーを仕入れて内製すればいい。

継足し増築 池の平ホテル

 西新井法人会の1泊旅行で長野県白樺湖畔の池の平ホテルに泊まった。総勢180人の団体が東館に泊まった。東館から風呂、食堂のある本館までエレベーターで上下し、片道8分掛かった。

 旅館業は来館者に合わせて少しずつ部屋数を増やすのが健全経営と言われてきた。池の平は不便さを承知の上で健全増築をしてきたようだ。来館の若夫婦・子供たちは元気一杯で遠距離移動は苦にならないようだが年寄りたちは閉口した。特に足の弱っている私は部屋から出ないよう心掛けた。出ないのはいいが何となく面白くない。

 朝食バイキングは伊東園グループと同じだ。宿泊客を一堂に集めて「好きなだけ食べさせる」方式だ。「池の平はもう来ることはないだろう。電車で行ける熱海の伊東園グループの安ホテルの方がいい」と思った。伊東園グループは閉館するホテルを買い取って部屋数を増やしてきた。こちらの方が効率いい。中古建物ばかり買ってきた耕のやり方だ。

 帰りは事故渋滞で1.5時間遅れた。王子段ボール着7:40。

テキパキと事務は進む

 6月は忙しい。

1、6/21からの給与改定通知の手交 

2、6/28(金)に夏季賞与支給(王耕の賞与支給は公務員支給日の1週前という取り決めがある)

3、夏季社内報発行7/16(火) 

 私の担当は上記3点だがその他のエクセル表づくりが5点ほどある。

 社員が見て分かりやすい表を作れば社員が ㋑現状分析をやり ㋺次の方針決定を社員が楽にできる。一旦出来上がれば毎月使える。社員は毎月の表から自分の居場所を確認でき、次に何をやるべきかが分かる仕組みだ。

 上司が口で言わなくても社員が自分で問題抽出ができる。エクセル表はそれほどに効果を上げる要素がある。目標管理はエクセルでやっている。

増えてきた課長決断

 山村制作課課長=不要配線の撤去。リコーさん指定業者さんが来て6/7、8で大量に捨てた。

 澤本印刷課課長=新館1Fの古紙17パレット捨てた。

 成瀬管理課主任=箱に保管されている刷りだし見本を100%捨てた。

 いずれも課長・主任決断があったればこその結果である。私には詳細は分からない。しかし在庫が大幅に減少すれば悪いことはない。効率はUPする。利益増につながる。傍から見ていて気持ちがいい。

 2024スローガンの「アイデアで楽しく稼ごう」で予想もしなかった利益が出る。設備投資して益出しをするのは下(げ)策である。課長決断・社員のアイデアで益出しをすることこそ上(じょう)策である。

加賀料理を満喫

 耕お客様の加賀料理の大志満様で6/10昼食をとった。8,000円の最上級コースは量が多くほうほうのていで完食した。刺身の切り身は大きく料理は12種という豪華さであった。

 加賀料理の最大特徴は治部煮である。鴨肉を煮た料理で石川県金沢市の代表的な郷土料理(加賀料理)である。客は治部煮を食べてやっと「加賀料理を食べた」気になる。

 大志満様は元々品川駅前のホテルにあった。品川で和食と言えば大志満だった。駅前再開発で今の汐留のロイヤルパークホテルに移転した。25階の窓からは浜離宮公園が見渡せる気持ちのいいセンチメンタル昼食であった。

2語句検索で精度急上昇

 大利根CCの支配人の下の名前が分からなかった。帝国データバンクの南出さんに調べ方を聞いたら「大利根CC 大森」で検索すると「啓幹(ひろき)」と出てきた。簡単なものである。大森啓幹支配人は今、私と会員との間で問題となっている事件をうやむやにしようとしている人物だ。

 事件とは今年(2024)1.2に開かれた新年杯の帰りのクラブバスの中で会員の稲田栄池(茨城県守谷市松が丘5ー7ー1)が後ろからアイアンの柄で思いっきり私の首筋を殴ったことだ。

 心不全の回復過程にあって体力に自信のなかった私は所轄の境警察署に被害届を出し大利根CCには稲田を除名にすることを要求した。

 意外なことに大森支配人は事件を調べることはせず、一貫して「そのような事件はなかった」との立場をとり続けている。

 私の目標は①稲田を除名する②大森を退職させるーの2点だ。

 今後も村木茂大利根CC理事長を巻き込んで①②の実現に向けてやって行くつもりだ。5年ぐらいかかるだろう。

心療内科に行け

 心不全の担当医に「歩行が上手く行かない。心不全と関係あるのか」と聞いたら「関係ない。心療内科に行ったらどうか」という。愕然とした。「心の病だ」と言っているのだ。頭に来た。

 これからは歩行訓練で「よちよち歩きを改善する」と誓った。確かに「心不全」と診断され心のどこかに甘える気持ちがあった。甘えさえなくせばまともに歩ける。朝のタクシー出勤はやめた。電車出勤にする。

色調補正がカラー品質の鍵

 現物と同じ色のカラー印刷物を作るにはどうしたらいいか。いつも問題にされるのはオフセット印刷機の精度であるが、これは核心を突いた解決策ではない。

 私は印刷の前工程の製版技術がポイントであると思う。どんなに多くの半導体チップを内蔵して高度化された印刷機でも印刷段階では微妙な色出しは無理だ。高度なカラー印刷物を作るには、まず精巧な版をつくることだ。

 そこで鍵になるのがマック画面上でやる色調補正だ。耕には都築明彦さんという色調補正の専門家がいる。都築さんが色調補正した印刷物にお客様は皆納得してくださる。

 印刷機機長は自信をもって機械を回せる。高価格なインキ・UV印刷機は不要だ。20年前のオフセット機、最も安価なインキで立派な製品がマーケットに出せる。私は毎日胸の奥で都築さんに感謝している。

王耕の統一用語に「色調補正」を入れた。

元気会社が集合 モリサワ会

 6/4 文字製造販売の㈱モリサワが主催するモリサワ会(会員数185社)の総会・懇親会に参加した。60人が参加した会には都内のほか秋田、香川、福岡の各県から来た人もいた。

 紙の消費量がどんどん減るなかで来た人は総じて元気だ。理由を聞いても明解な回答はない。古くからの印刷会社が多く、この会に来るとインキの匂いがしてくる。

 私(76歳)より年上は3人いた。その人たちとの会話は往年の印刷産業が盛んだった「昔は良かった。昔は良かった」の繰り返しだ。そう言っているだけで全身の疲れが溶けていく気がする。私の好きな会である。

何処で何を売るかが勝負

 TOPPANNホールディングが現在40%弱の海外売上比率を50%に引上げるという。エチオピアにパスポートを製造・発行する工場を開設するなどアフリカ諸国への進出が順調だという。

 私は何処で何を売るかが勝負とみている。出来上がった製品を先進諸国に販売する方が楽だ。何を売るかは得意分野の製品がいい。こちらは従来の主業とあまりかけ離れていなければ選択は自由だ。

 私は海外となると急に肝っ玉が縮んでしまう。どうやっていいのか分からないからだ。①売れるものは何か ②売る体制をどうやって作るか ③継続して商売ができるか。

 自分の情熱以外に頼るものはない。76歳の今、体力に自信が無くなってきた。歩行はヨチヨチ歩き。階段は必ず手すりに掴る。転んだらお終いだ。今マーケットで選べるのは、首都圏の掘り起こしだけだ。「ジャー、どうする」。限定された範囲内で「ジャー、どうする」を繰り返している。何よりも安全が第1だ。

 2024の「アイデアで楽しく稼ごう」は実によくできたスローガンだ。商圏は首都圏、主業は印刷の延長、設備は自主保全、打つ手は社員満足の向上。これだけ並べれば結構やることは多い。提案はどこから来るかと言えば、それは社員のアイデアからである。

夜間印刷のなくなった大日本村

 赤羽駅の東南に大日本印刷㈱の工場が密集している。どれもが大きな建物だが、いずれも稼働している様子はない。鎧戸が閉まったところが多い。

 これは大日本本社方針が10年前「用紙印刷からの撤退」に転換して以来の結果だ。駅東側の赤羽1番街の店は夜勤明けのお客が無くなったので開店は午前9時から11時になった。

 私は14時ごろ「まるます家」に行って鯉の旨煮、鯉こく、馬刺しを食べる。酒を飲まない私はチャチャと川魚料理の豪華な昼ご飯を食べて退店する。まるます家も従業員が減った。環境が変わればそれなりに体制を変えていく逞しさがある。それでも店の得意料理が川魚という特徴があるから客は逃げない。

 会社の背骨が何たるかを確認しているところは強い。「王耕の背骨はスピード応対」である。

 大日本は大企業特有の保有技術で精密部品の生産に主業を移して行き利益も出している。

 気になるのは60近いまるます家の美人孫娘が私を避けることである。

安ゴム底靴で快適

 5/28赤羽のイトーヨーカ堂で靴を物色していたら80過ぎの爺さんが4,500円のゴム底靴を手に「今の靴は安いですね」と言ってきた。「これじゃ高いですよ。私は2,000円ぐらいのしか買いませんよ」と応えた。「そうなんですか」と言って爺さんは向こうに行ってしまった。

 私は安ゴム底靴で重宝している。理由は

1、私の甲高幅広の足に合う靴が多い。

2、ゴム底だから滑らない。年を取ると転ぶのが1番怖い。

3、軽い。

4、安いからいつでも捨てられる。

 今はめったに革靴は履くことはない。新年会、交流会といった公の場でも安ゴム底靴だ。5/27のみずほ銀行ゴールド会員の会でも180人が参加して安ゴム底靴は私1人だった。「俺は借金ゼロだ。身なりよりもゼロの方が偉いのだ」と腹の底で思っているせいだ。

 27㎝のサイズで幅を緩めて履くと快適だ。

新しい機能ゼロ  drupa2024

 5/28からドイツで世界最大の印刷機材展drupa2024が始まる。その予告記事を読んで私は何の感興も起きない。一切が小手先の新製品だからだ。従来機械にカバーをかけて「新製品」と銘打っている様なものばかりだ。

 「あらゆる生産設備は20年前のものと同じである」と思っていれば間違いない。20年前に買った印刷機械は部品交換で新品同様の活力を回復する。印刷業とは装置産業ではない。自主保全産業である。

 面白いことに9年前、私に自主保全の重要性を教えてくれた文京区の印刷専業の社長(71)が5年後に小森のUV機に買換えていた。「教えてくれたことと違うじゃないか」と笑ってしまった。耕の方が「旧いものを使い切る」点では徹底している。

 部品交換は果敢にやるべきだ。部品代はせいぜい2万円程度。オフセット印刷機を丸ごと買換えると3億円かかる。こんな大きな買物をしていたらいつまでたっても借金地獄から抜け出すことはできない。

 王耕は金融機関からの借入はゼロだ。高度な技術を必要とする工程は外注さんにお願いする。例えば抜き作業はかなりの熟練度を要する。王では逆立ちしても良品を作れなかった。今は墨田・台東区の抜き専業の会社さんにお願いしている。

 お願いし続けるには外注さんへの「礼儀」と「少しでも外注さんのお役に立ちたい」と思うことが大事だ。

 その最たるものが支払いの「20日締めの31日振込」だ。検収期間は11日。外注さんは当社に納品して11日後に現金が入金する。喜んでくださっている。だからdrupa2024に出展された機材は外注さんが「必要だ」と思えば買うだろう。

 王耕には関係ない。

陶器瓶は分量が確認できない

 5/23(木)私が優秀な成績で卒業した世田谷区立等々力小のクラス会が横浜中華街で開かれた。会費5,000円で10人が集まり愉快な時間を過ごした。「折角だから」と私が1番高い紹興酒の瓶15,000円を注文したがどうも酒の量が少ない。横に倒してもなかなか出てこない。

 栓が開けられてきた20年物の酒は旨かった。店には何も言わず紹興酒を飲みたい3人で空けた。

 よく考えてみると陶器瓶の酒の量は見えないから分からない。店の従業員が「一寸1杯」と湯呑みで飲んだかもしれない。すでにグラスで売った後の瓶かもしれない。

 私は疑い深い性格だ。再発防止策は客が栓を開けるようにすればいい。

「女房の作った握り飯が1番」

 タクシーの運転手さんの言ったことである。私の出勤はタクシー1,200円だ。品川駅から電車で来ると大崎駅から10分歩くのが面倒なためだ。

 タクシーに乗るとおしゃべりな私はまず自分のことをしゃべる。「心不全だから足元がふらつく。年のせいか食べたいものがなくなってきた。最近旨いと思うのはコンビニで買ったお握りだ」。

 「私は女房が持たせてくれる握り飯が1番旨い。海苔が多めに包んである。なんで握り飯はあんなに旨いのか分からない」と運転手さん。「その通り。お握りは旨い。76歳になって食べたいものが急に減ってくる。お握りに助けられている」私。

 兎も角こちらが声掛けすれば運転手さんは応えてくれる。嫌なら無視してくれて結構。

 会話には老若男女はない。私は誰彼構わず話し掛ける。運転手さんは最後すっきりしたような表情で「ありがとうございます」とおっしゃる。

水上印刷さんがMICに社名変更

 印刷業界ダントツ会社(TDB評点76)の水上印刷さんが2022.1.1に㈱MICに社名変更した。

 HPによるとM(未来)I(イノベーション)C(カンパニー)を意味しているという。売上が100億円を超えたMICさんと見比べると耕はかなり出遅れた会社である。

 しかし現在、私にとってMICさんは王耕が目指す会社ではなくなってきている。理由は

1、社名は変更しない。

 耕文社、王子段ボールは私たちにとって立派な暖簾だ。一旦掲げた暖簾は終生変更すべきではないと思っている。弁当配達会社が「たまごや」を名乗っているのは痛快だ。

2、主業が広告支援業に向かっている。

 耕も広告代理店要素を事業の柱にしようとしたが、どうも未来像を描けない。やはり①パッケージ②シール③手提げ袋④カレンダーといった物品製造からしか主業転換は図れない。これから行くと大阪のザ・パック㈱(TDB評点66)さんの方が目指し易い会社である。主業が角底紙袋製造業、段ボール箱製造業だ。

3、MICさんはimageが柔らかい。

 つかみどころがない。耕は生産商品をもっと明確に打ち出したい。

本日(5/21)王70期、耕63期スタート

 王は買収(2012.6.29)後12年目に入る。段ボール製箱業として安定してお客様を増やしている。69期で78社増やした。お客様数は892社から970社に増えた。月売上げ50万円超のお客様は2社増えた。

 段ボール業界が低迷期に入っている。3年前に原紙単価を35%上げて以来需要不振が続いている。どこの段ボール会社にも注文が来ないのだ。

 王は特段の設備投資をしていないから特にお金の心配はしていない。全社員がいいとこのお坊ちゃん、お嬢ちゃんのような顔をしている。

 耕は4商品(パッケージ、シール、手提げ袋、カレンダー)の受注増に努めている。「急に増やせ」と言っても無理だから毎日の日銭朝会で進展状況のチェックを入れている。このチェックが全体数字を押し上げることになるだろう。「急ぐべからず」といったところだ。

 前期で月200万円超の超大口お客様は1社増えて9社になった。たった1社である。やはりいいところの生まれの営業部員は駄目だ。ハングリィじゃないのだ。

売上目標は王前年比6%・耕4%増

 5/21からの来期目標は王は鈴木崇夫さん、耕は伊野信康さんが言った最初の数字だ。私はそのまま是認した。

 これで売上目標が決まったのでこれを土台に工場目標が決まれば経営計画書は完成だ。以前は経営計画書として冊子を作っていたがずいぶん簡単になったものだ。

 問題は今年のスローガン「アイデアで楽しく稼ごう」がいかに加味されるかだ。アイデアによってはとんでもなく生産性がUPしたり受注が飛躍的に伸びたりする。丁と出るか半と出るか分からないところがアイデアの醍醐味だ。

 王耕の目標は増収(売上増)増益(利益増)だ。目標は1つなのだから社員はその実現に向けてアイデアを出せばいい。不発に終わってもいい。件数が多く出ることが重要なのだ。

 例えば忠雄大さんのプリスロのシート跳ねとび防止棒2本を外すことでタトウ生産スピードを1.5倍にしたことは見事であった。製函機メーカーの梅谷さんに忠さんが確認したところ「棒がなくても跳ねとびがなければ問題ない」というお墨付きをもらった。

 このようなアイデアの積み重ねで「楽して稼ぐ」ことができる。アイデアの出しっこはゲームである。王耕社員は血と涙を出して働く必要はない。気持ちに余裕をもってゲームをしていればいい。

ツタヤが「推し活」に変身

 「推し活」とは「好き」という意味。自分な好きなキャラクターのステッカー、カード、色紙などのグッズを集めること。

 今までCDやDVDのレンタルが主業だったツタヤがグッズ販売のコーナーを大々的に設けた。まるで来客がなくなったレンタル収入をカバーしようとしている。恐ろしいことである。ツタヤはここ3年利益ゼロが続いている。ほかの収入源を作っていかねばならない。

 どこの業界も発生し得る危機である。どうせなら絶対無くならないテーマを決めてやっていきたい。無くならないテーマをあえてここで申し上げれば以下の3つだ。

  • 配送(段ボール箱製造も含む)
  • 販売促進
  • 新規開拓

 この3つを同時にやって行きたい。

 幸い現在は王耕でこぢんまりとだが3つに関連したことをやっている。3つの中でどれが伸びるかダメになるかは分からない。1点に偏ってはいけない。私はいつも3点を見ながら商売を続ける。

物流改善事例大会を聞く

                                                                                                                        

 耕で月刊誌を取っている日本ロジスティックスシステム協会が年1回開いている各社の改善発表を初めて聞いた。大手30社が成果発表をやったが「良くなったこと」中心でもう1つ深みがなかった。

 やはり私たちが聞きたいのは苦労した点である。㈱

 山善がトラックからフェリー・鉄道輸送に50%切り替えたが10トントラックを集めるのが大変だったーという。これは興味深かった。

 やはり話はマイナス面を織り込まなければ誰も耳を傾けてくれない。私は人と話すときは自分の失敗例から入ることにしている。

DXより強力な社員アイデア

 DX (デジタルトランスフォーメーション)とはデジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスである。

 品川区では盛んにDX教育に力を入れているが、いずれも初心者、ベンチャー向けの教育が中心だ。例えば経理ソフトの選び方とか私が学ぶことは少ない。

 それより王耕で山村さんがパソコンを入れ替えたことの方がよっぽどDX推進になっている。これから王耕社員がやることは①全社員が分かリ易い表づくりーである。新規開拓数の多い順、アイデア提案の多い順など。

 結局はアイデアに行きつく。アイデア多発の王耕であれば最もDX  の進んだ会社になる。

旧い万年筆6本売る

 業者が23区内20カ所で買取会を開いていた。5/13(月)私は京浜東北線大森駅駅ビルの会場で売った。24,000円で引き取ってくれた。予想以上の額だった。

  1. 仙台の手作り業者・大橋堂のものが1万円。5万円で買ったものだ。
  2. モンブランが8,000円
  3. プラチナなどが1,000円

 燃えないごみで捨てるところだった。

 最近は買取り商売が大流行だ。ブランドバッグ、金、和洋服、果てはオーデオと。古いものを買って販売するいわゆる質屋商売だ。この商売はいとも簡単に参入できるのが特徴だ。万年筆を査定したおばさんは「私はこの会社に入って1年です」と言っていた。

 ゴミとなって廃棄されるものが有効利用されるのは社会的には意義のあることだ。私の引き出しの中は少し物が減った。

三井住友銀行様から新規受注

 耕営業4課の浅井慎太郎さんが三井住友銀行様を開拓した。余りにも大きなお客様なので私の頭の中も整理できないでいる。6万円ほどのパネルの受注だがお金を払ってくださるのはまごうかたなき三井住友銀行様だ。

 64年前私が中学生だったころ父・昌夫は目黒区鷹番で10坪ほどの工場で印刷業をやっていた。ある日60歳近い森さんという地味な営業が日本電気総務課から薄い文書の印刷をもらってきた。それが切っ掛けとなって日本電気コンピュータのマニュアル印刷を請負うようになった。

 その後日本電気近くの港区三田に本社を移し社員は鷹番の12人から100人に増えた。その頃29歳の私は毎日新聞社でにっちもさっちもいかなくなっておりこの身を父に引き取ってもらった。

 当時の教訓としては「大手のお客様は請負う仕事が異常に広がることがある」と。

 今回の三井住友銀行様はどう展開するか分からないが、ビックリするような大手である。こちらのアイデア次第で面白い未来が開けるかもしれない。ダメ元でいろいろな提案はできそうだ。

埼玉県は豊かな農耕地

 5/3中学時代の友人の運転で高崎線鴻巣駅周辺を回った。利根川下流の茨城県潮来市周辺が豊かな農耕地であることは潮来CCに通っていたので知っていたが、上流の鴻巣駅周辺も平地が続く豊かな地形が広がっていた。

 利根川の取水口から大量の水が流れ込み、それが3つの分水流となって平野に流れ込んでいる。物凄い水供給量だ。田畑の作物は否応なく豊かに生長する。  

 埼玉県は秩父の山地を除いて東側はなだらかな平地が広がる。「埼玉県は奥が深い」と言われているが、平地が広いから何でもできる。大学、住宅地。東埼玉テクノポリスなど工業団地も61カ所ある。

 「王子から埼玉県の工業団地に段ボール箱受注の営業をやろう」と5年前に声掛けしたが今のところ成果ゼロだ。いずれはじわじわと工業団地にお客様を作っていくつもりだ。

 茨城県も同様だがすべての根源は利根川にある。大河が作り上げた平野は豊かである。人々はその豊かさを享受して生活している。茨城・埼玉・千葉県の人々は仕合せである。この3県の会社に段ボール営業を掛けられる私も仕合せ者である。

製函スピード1.5倍にした

 王製函課の忠雄大さんがタトウ式段ボール箱の生産スピードを1.5倍にした。プリスロで毎分90枚作っていたものを130枚にしたのだ。シート跳ね上げ防止バーを外したことで一気にスピードが上がった。バーを外しても安全性に問題はなかったという。

 タトウ式とは外側から内側に包み込む形状の段ボール箱だ。メール便で最も価格が安い形状で、王製函機は一気通貫でタトウ式を作れるのが特徴だった。最も一般的なA式段ボール箱製造と同じ130枚/分のスピードになったのだ。

 大変な効率UPである。忠さんは「シート流し込みの山室さんと後工程のフォルダーグロアーの茂田さんと藤井さんが忙しくなってしまう」と心配していた。私は「あんな連中なんか放っておけ」といった。

 忠さんのアイデアで王体質は更に強化された。

会社を弱くするホールディング

 ホールディング制に移行する大手が増えている。私はホールディングになった会社を信用しない。本業が不明確になるからだ。

 グループトップはホールディングで子会社の数多くの業種を束ねて統率できるからこんな便利な組織体はない。

 しかしホールディングにぶら下がる会社は本業が何であるかがぼやけてくる。高じて単体で儲けなければいけないものがホールディング内で利益の移動を始めたらもう末期症状だ。

 社員が自社が儲かっているのかが分からなくなってしまう。1トップの都合で全体がぼやけてしまう恐ろしい麻薬なのだ。大手には事業部制をとって業種別に分けるところもあるが生ぬるい。やはり別会社にする方がはっきり分けられる。

 最近の専門店が売上を伸ばしているのは本業1つに力を集中しているからである。どんな波が来ようとも「単体で乗り切っていく」という社員の心構えが1番のエネルギーになる。

なによりも重要なのは単体の決算書が次のPLAN-DO-CHECKの資料として使えることだ。

バラライカ演奏会で新鮮味

 文京区のシビックホールで5/2(木)開かれたバラライカ演奏会に行った。目黒駅近くに新しくオープンしたロシア料理店にチラシが置かれていたので1枚持ってきた。ロシア料理店の料理はさほど旨くなかった。

 ロシアの民族楽器であるバラライカは繊細な音は出るが音は大きくない。よく聞こえない。手首を細かく振る動作の割には音が出ない。

 会場には知った顔は1人も居ない。新しい分野のグループの人達だ。こういう未知の集団の中でよそ者として無表情に座っているのも快感だ。

 ゴールデンウイークでやることのない時の時間つぶしの音楽会だった。

奈良漬が旨い

 うな重を食べて1番合う漬物が奈良漬けである。厚く切った奈良漬けが4枚ほど添えてあるとかば焼きは一層味が引き立つ。

 近鉄奈良駅からJR奈良駅につながる商店街は5軒に1軒は奈良漬けを販売している。瓜(うり)を半分に切った形のいい大きな奈良漬けだと1つ5,000円はする。

 徳川家康は大坂夏の陣で献上された奈良漬けをいたく気に入った。江戸幕府では奈良漬けだけの御用商人がいた。

 奈良県民はどうして異常に奈良漬けを好むのか分からないが、発酵食品としては塩分少なめの健康にいい伝統漬物だ。これが奈良以外の地域では販売量は落ちる。もったいない話である。

 東海地方の酒店では灘の「沢の鶴酒造」の作った奈良漬けを仕入れている。蔵の酒粕有効利用だ。どこの産でもいい。奈良漬けは私にとって欠かせない食材である。

アルバイトと社員の良好関係

 野地薫契約社員(60)と製函課2アルバイトとの関係が見ていて微笑ましい。

 佐藤文昭さん(69)は「出勤するのが楽しい」。長堀雄一さん(72)は「ミニグルアーは忙しかった」とおっしゃる。野地さんは「不良が出ないように私が検査している。スピードを上げてもらいたい」と手を緩めない。

 野地さんが1人で製函課手加工をやっていたときは効率が上がらずてんてこ舞いだった。お2人が入社され手加工スピードは4倍になった。今まで2時間かかっていたミニグル手貼りが30分で完了するようになった。野地グループは「何でも御座れ」の空気になった。

 しかし「良品を作りたい」という野地さんの厳しい姿勢に変わりはない。お2人も上司である野地さんの意を汲んで努力してくださっている。

 私は毎日3人の伝言板を対比して読むのが楽しみだ。

鉄道収入%の1番少ない東急

 反対に%が1番多いのが京成だ。鉄道収入は安定収入として確保しつつ他分野の収入を増やすのが甲斐性というものだ。その点京成は芸がない。最近はディズニーランド株の放出の話まで出ている。

 基幹交通を握っている強味から土地開発、店舗、エンタメと生活全般に収入源を増やしていくのが鉄道会社の甲斐性だ。東急は渋谷エリアの開発、新宿歌舞伎町に巨大エンタメビルを作った。

 松竹は売上げの30%超を歌舞伎興行で占めると×としている。他分野で売上を増やすべきというのが松竹社の方針だからだ。でもなかなか増えない。

 王耕にしても耕はオフセット印刷からの脱却、王は超大量製箱への移行があるべき姿だ。ではどうするべきなのか。現実的課題として正面から取り組む価値がある。

 だからと言って眠らずに一晩中考える必要はない。アイデアで勝負だ。ふとした思いつきから壮大な売上品目を形成することは可能だ。例えば①奇抜なデザイン力②見本の高品質化ーを目指すのも面白い。社会の先端を行く意外性あるデザイン、製品と見間違うほどの豪華な見本をいとも簡単にお客様に提出する耕生産部―は実現不可能な話ではない。

累計を入れない魔術

 伝言板の実績数字記入欄がいつの間にか前日だけの数字になっている。単日の売上を記入して日銭達成・未達を書いても傾向が分からない。

 必要なのは①塁目標②塁実績③前年数字-である。王配送、耕管理課がその悪い例だ。故意に①-③を外しているのは「自らの現実の姿を見まい」とする目隠し動作である。

 実績数字記入欄のフォーマットは本日(4/25)中に更新させる。

検査者がデザイナー褒める

 4/24(水)の伝言板によると小林宗一検査者(63)が古田菜月デザイナーの作品を検査して「技術がかなり向上した」と評価していた。

 小林さんに聞くと「古田さんのお客様赤字の修正ミスがなくなった。この半年間修正ミスゼロだ。自分で検査しているせいだろう」。

 小林さんの1節を読んで私はとても嬉しかった。先輩社員がつい言葉にした気持ちは貴重だ。

 ビジネス生活で最後に残るものは技術だ。技術の積み上げによってその人は次のステージに行く。ものの見方がガラリと変わってくる。本人が1番その快感に浸れる。

毎日新聞社の懐かし飲食フロアー

 4/23アジア調査会の講演を聞く前、毎日新聞社B1の飲食フロアーを歩いた。ここは50年前、整理本部に勤務中、夕に仕事に入る前先輩記者達と連日食事をしたところだ。

 整理とは来た記事に見出しを付け1頁にレイアウトする仕事だ。当時まともに記事が書けなかった私は整理に異動になって整理でも上手くいかず悶々としていた。その苦しい時期に通った食堂街だ。

 自律神経失調症気味だった私は2年半整理本部に居て29歳で毎日を退職し親のやっている印刷会社・㈱耕文社にもぐりこんだ。

  47年後、私は76歳。王耕は借入ゼロ。自身、経営のアイデアは次々に湧いてくる仕合せな日々を送っている。この日ニュートーキョーで食べたカレーは千切りのキャベツが沢山乗って旨かった。

白いネット帽で歩き回る

 4/16(火)静岡市市民ホールの徳川家臣団大会の講演会場から宴会場の浮月楼に行く途中、歩道で後ろに倒れてしまった。浮月楼は徳川慶喜15代将軍の屋敷跡の料亭。

 血だらけになり救急車で静岡赤十字病院に運ばれ後頭部を1か所縫ってもらった。頭は包帯で巻かれ白いネット帽をかぶらされた。このため大会の宴会には欠席。残念なことをした。

 白いネット帽は傍から見ると目立つが、被っている本人はさして気にならない。平気で街中をうろうろできる。

 今回の教訓=フラフラになったら路上にへたり込むーである。

 無理して立っていようとしてバタンと倒れるのは危険だ。路上に寝てしまってもよい。まずしゃがんで道路に手をつき安全に倒れるようにする。

 転んで6日後の4/22(月)第三北品川病院で抜糸してもらった。ようやく頭を洗えた。

2機高度を㍍で分けろ

 海上自衛隊のヘリが鳥島沖の海上で衝突した。潜水艦探知のためとはいえ2機が同じ高度で飛べば衝突の危険は100倍に達する。

 例えば複数機で行動するときは各機の飛行高度を決めて探索することはなかったのか。高度差を50㍍保ってもいい。いくら自衛隊とはいえ自機の安全が最優先されるべきだ。安全飛行の前提でこそ防衛活動を行える。

 私の性癖からつい再発防止策を考えてしまう。事故防止のための飛行訓練であったはずだ。

 私は23歳の時、神奈川県山北の水害に取材に行った。行きは毎日新聞横浜支局の古い日産セドリックで行ったが帰りは自衛隊のヘリコプターで街中まで送ってもらった。初めてのヘリ乗機で余りに大きい左右の傾きと高度の上下移動に必死に機にしがみついていた記憶がある。

 「ヘリコプターとはこんなに自由に空を飛べるものか」と驚いたものだ。ソナー探知であれば高度を保って安定的に飛行するのが訓練ではないか。なにも2機が同じ高度で飛ぶ必要はない。危ない。

足元固めるのが企業強化のコツ

 強くなった日本製鉄が注目されている。橋本英二前社長のやった①高炉削減、②高品質鉄鋼の値上げーが大幅な損益改善になった。利益を確保できると次のことに手を出し始めた。USスチールの買収である。

 歴代社長は①外国企業との提携②社内空気の改善ーなどやったと言っているが、どれもピント外れだ。社の損益の改善だけをやればいい。利益さえ出れば次への方針も生まれてくる。

 橋本前社長はピントの合った目標に向かって1つ1つクリアーしていった。多くのことをやる必要はない。利益の出る体制さえ作ればいいのである。

印刷業界は「これじゃダメだ」

 印刷業界各社の情報盛り沢山の月刊誌を見ていつも思うことだ。

 ポイントは①直請け ②下請けかーである。99%の業者さんが②下請けで売上増を目指している。これは利益増に結び付かない。加工単価が発注者さんに握られているからだ。

 言われた単価で受注しても利益は出ない。「当社の単価は○○円です。それでお願いいたします」と言って通らなければ撤退すればいい。

 ここで改めて①直請け ②下請けーの定義をする。

①直請け=単価決定権が請負業者にある。

②下請け= 〃    発注者にある。

受注体制を②から①に変更しなければ利益出る会社は作れない。

王の受取手形は現在2枚

 驚いた。王子段ボール㈱の受取手形は社内金庫に2枚(①額面26万円、落ち日4/30 ②18.7万円、4/30

)になってしまった。2012年王子買収時は80%が手形回収であった。余りの良い方向への進展につい頬が綻(ほころ)んでしまう。

 「段ボール箱なんざ現金で買うものだ」とうそぶいている私だが、実際に前金で買ってくださるお客様は神様だ。

 王は前金のお客様が927社中172社ある。実に18.5%のお客様が前金で段ボール箱を買ってくださっている。

 耕のお客様895社のうち前金は4%の36社だ。この差は王の方が与信管理が進んでいるということだ。

 100万円売上たら100万円回収するのが商売の鉄則だ。鉄則が王の方が進んでいる。その分私は枕を高くして寝られる。

5年間ポイント未使用

 午前5時過ぎ五反田マルエツで売れ残り3割引き菓子パンと牛乳を買って会社で食べるのが私の朝食である。

 五反田で早朝開いているスーパーはマルエツぐらいで週2回4,000円ほど買い物をしてきた。

 ポイントは1年経つたびに消えていくと初めて知った。年で100回買物をしたとして年20万円遣っていた。20万円×5年=100万円のポイント未使用だった。

 「ポイントなんか問題にしていない」と偉ぶっていたのがいけなかった。「大変無駄なことをした」と反省した。気づいたら吉日だ。これからは小まめにポイントを使うことにした。

9年ぶり黒字化したさいか屋

 日経MJ(4/12)によると川崎、横須賀に店舗を持つ百貨店さいか屋が健康食品大手AFCに買収され3年目に黒字化した。売上は200億円→50億円に下がったが2024予測では10億円近い黒字を計上できる。

 浅山忠彦AFG会長(82)の口癖は「1等地にあって顧客基盤があるから儲からない訳がない」という。

 私が毎日新聞に入って3年目26歳の時に神奈川県立横須賀高校の連載をやった。進学校だった横校の卒業生に岡本伝之助(1896-1982)元さいか屋2代目社長がおり、葉山のご自宅に伺った。

 広い応接間、和服姿で現れた岡本さんは物静かな紳士であった。まるで別世界に迷い込んだような気分になり私の取材も上滑り気味だった。後日自宅に岡本さんから電話が入り「当時の記憶が違っていた。私は応援をしていただけだ。主役ではない」と横校でやった催しの訂正連絡が入ったのには感激した。

 横須賀、川崎に行くたびにさいか屋ビルを見上げながら「頑張れ、立ち直れ」と心で叫んできた。どんな形であれさいか屋の看板で黒字化したことはとてつもなく嬉しいことだ。

業者減少で来る仕事増える

 印刷業者の減少が続いている。かつての「仕事の奪い合い」よりも「やる所がないから請けてくれ」といった話を耳にするようになった。ありがたいご時世になったものだ。

 印刷発注担当者様の使用業者数が限定されてきたことで王耕営業は多少気持ちに余裕をもってお客様に応対できるようになった。大日本印刷と凸版がオフセット印刷から大幅に身を引いたことが大きい。

 ただし王耕最大の特徴「スピード応対」はいささかも変更なしである。

 福田さん担当のシャルマン様発注のプラスチック段ボールは10色あるうちの3色で作ることが決まった。お客様の選定である。この通称「プラ段」は栃木県の外注さんの大橋紙器さんに丸投げだが王の立派な営業品目になりつつある。

 環境は王耕にプラスに動いているが、王耕社員は決して手を緩めてはいけない。「これでもか これでもか」とスピード応対に磨きをかけていかなければいけない。

アジア時報請負って47年

 私が毎日新聞社を退職したのが1977年8月31日。当時仕事が上手くいっていなかった私は父親のやっている印刷会社㈱耕文社に拾ってもらい新規開拓の飛び込み営業をやっていた。

 新聞社の先輩から「アジア調査会が新しい印刷会社を探している」という連絡をもらった。1も2もなく手を挙げて「大変名誉なこと」としてお請けした。以来47年。この間時報を読むことはなかった。最近になってにわかに論文に興味を持ち出した。面白い。

 知っている記者から教わったニュースソース(情報源)を加味しつつ読むと論文が躍動しているように思えてくる。論文は発言と違って責任を伴う。書かれたことは検証しやすくいつまでも残る。筆者が責任を持った文章は重みがある。

 翻って王耕の伝言板は書き放題、書き得の欄である。特に内容に責任追及されることもない。社員の文章作成能力は確実に上がっている。これは嬉しい成果だ。

 一方、アジア時報は専門家の論文集だ。重みのある月刊誌の編集・印刷をさせてもらっている。やっぱり名誉ある仕事である。

上乗せアイデアが面白い

 耕で菊全判4色オフセット印刷機2台のうち1台を売却する計画が進んでいた。これに対し売却は半裁機にした方がいいという案が出てきた。それぞれには理由があって話を聞くだけでためになった。

 アイデアとは1発勝負ではない。反対意見も出て、練りに練った結論が出れば大成功だ。

 問題は最初のアイデアが出るかどうかなのだ。この場合耕にある3台の4色オフセット印刷機のうち1台を減らすーというのが最初のアイデアであった。「そういう手もあったのか」と思わせるアイデアであれば十分に価値がある。

 最終目的は毎月大赤字の印刷課の利益出しだ。アイデアの決定を1週内でやれれば合格である。

価値ある役員外出席者

 役員会に10人ほどの役員でない人の出席をお願いしている。これは会社に不満・提案を持った人が出席して思いのたけを発言してもらうためのものだ。

 4/5(金)新任課長の前田猛さんが出席して「私は係係長(職位手当1万円)だったが課長(職位手当5万円プラス管理職手当3万円)に昇進して7万円昇給すると思っていたら3万円しか上がらなかった。これはどういうことか」と詰問があった。これは上司の澤本工場長の感違いですぐ修正することになった。

 このように社員の不満が噴出する場になればいい。不満が表に出る場は大事だ。その場で解決できる。

 そこで重要なのが議事録に残すことだ。「解決したから」と言って議事録から外してしまうと痕跡が残らない。1カ月経つと「会社の不備の実録」が忘れ去られて行く。これでは役員会を開いた意味が無くなってしまう。

 私にとって役員会が突拍子のない提案・意見の出る場になればますます価値ある会議になっていく。

冷や奴、もずく酢が旨い

 食べたいものが無くなっている昨今だが、「冷や奴を食べたい」と思いながら帰宅することが多い。スーパーで買った小分けした豆腐に醤油をかけて食べると大豆の香りが立ち上ってきて一層食欲を引き立てる。絹漉でも木綿でもどちらでもいい。調理の手間はゼロ。噛んだ時の感触がいい。

 更にもずく酢のパックを開けて水を飲むように流し込む。酢の香りがいい。胸が下りる思いがする。

 食べていると止まらなくなる。冷や奴3パック、もずく酢4パックと流し込む。旨いと思う。たった2つだけだが食べたいものができたのは生活に張りができた。

安値販売は続かない

 商売の道筋には①安値大量販売 ②適正価格販売ーの2つがある。この場合の正しい道は②である。②で売るにはお客様に納得してもらわないと在庫の山になってしまう。

 プリントパック社さんが名刺100枚480円で販売してそれがどれほどの利益につながるか。100人に売ったとして480円×100人=48,000円。これでは利益は出ない。

 安値販売は続かないーの言葉に帰るべきだ。少しずつ価格UP にもっていく 努力が必要だ。安値大量販売の1番悪い点は社員が疲れ果ててしまうことだ。購買者も480円にはこだわらないだろう。100枚=1,000円でもいいと思っている人も多いかもしれない。

 なにも自分から安値を言い出して自分を縛る必要はない。

方策は

  • サービスの上積み
  • 価格UP

に力を入れるべきだ。

外注さんに負担掛けないの②止

 ニデック(旧日本電産)子会社が型600個を10年外注保管させている問題は発注者側が「自分が改善する」という強い意思がないと進展しない。

 耕文社が外注さんに保管をお願いしている型は6社で、1社当たり254―32個だ。うち1社は「近々廃業する」という。戻された型を見て担当課員は「要らない型が多いのには驚いた」という。要するに外注さんの型保管には全く無関心だった。

 改善策は2年に1回、期日を決めて型を引揚げて不要な型は管理課員が廃棄、使う型だけ外注さんに戻すーことにした。少しでも外注さんのお役に立つことであれば実行する意味がある。

いよいよ初夏 3/29

 気温は14度。天気は小雨模様で春の嵐。股引を穿かずに出勤した。

 小さな問題を3つ抱えている。①集まりの会を退会したらそこの社長が「1ヶ月分3万円追加支払いしろ」と言ってきた。②大利根CCの支配人をクビにする。③日程を記入した手帳を紛失した。

 いずれも適切な時間をかけて1つずつ完了していけばいい。

外注さんに負担かけない

 ニデック(旧日本電産)の子会社が外注に型の保管を600件もさせていたことで公取委が改善の勧告をした。

 大量の型を保管するだけで結構なコストがかかる。この手の問題は発注側の配慮で如何様にもなる。

 子ニデックの求める保管期間は10年だったというが、王が型抜き外注さんに型保管をお願いしている期限は2年だ。2年間リピート発注がなければ外注さんは「型を勝手に廃棄できる」という取り決めだ。これで行けば保管型はそれほど増えない。外注さんも我慢できる量だ。

 「何をすれば外注さんのためになるか」を両社のテーブルに上げることが大事だ。発注側の小さな決定で外注さんの大きな負担を無くすことができる。

 発注者も自分で決定できる改善策で外注さんに喜んでもらえば大きな仕事のやりがいになる。

下版日の書込みで完璧保存

  以上の動作をやることで探すのが簡単な完璧保存ができる。ポイントは①担当名②下版日を大きく大胆に書込みする。③資料の束をホッチキスで止める④下版日順に重ねるーである。

 皆さんは資料を汚すのを嫌がる。事実は反対である。①②を大胆にやればやるほど資料が書込みだらけになり必要な資料は見つけ易くなる。とんでもなく効率UPする。

 探すだけでウンザリしていたものが余りにも早く見つけることができるので「すぐ見つかるだろう」と下版日順のとじ込みを取り出すのが楽しくなる。

 「袋に入れて大事に保管」は最悪である。見た目が奇麗なだけで「中が何の資料か」が分からないように本人がしているのだ。最初の表紙の作業指示書に赤マッジックで①担当名②下版日が書いてあれば必要資料の一発発見である。

アルバイト採用に踏出した王

 社員採用にばかり気が行っていた王がアルバイトを増やして内製のキャパを拡大することに方向転換した。

 13年前の買収以来1日の上限製函平米数は5万㎡を目標にしてきたが、2024年2月の内製平米は4万㎡を超えた日があった。このまま5万㎡生産を目指すと「製函課員は血を吐いて倒れることになりそう」との観測が飛び出し急遽アルバイトで生産力増強を図ることにした。

 市村社長ご夫妻が王を経営していた頃はチョコレートのアッセンブルでおばさんアルバイトが15人ほどいて、奥さんが差配していた。当時の労働体制の再現である。

 基幹設備は変えないで設備の周りの労働力を増強することで1日当たりの生産高を増やしていく。1日の上限製函平米数5万目標は変えない。これからは如何に楽に5万㎡超えの日数を増やしていくかである。

大相撲が面白い

 横綱がいなくてもいい。若手力士が台頭してくる場所は胸膨らむ思いで見ている。人の良さそうな顔より油断ならない顔つきがいい。若隆景の周りの人間すべてに恨みを持っているような目つきがいい。

 私は野球が嫌いだ。理由は選手の年棒が高すぎるからだ。熱狂的野球ファンは「選手としてやっていけるのは短い期間だから短期間の高額年棒は仕方ない」とおっしゃるがそれはどのスポーツも同じだ。限られた収入で節約しながら生活するスポーツ選手がいてもいい。

 母・登喜の実践女学校の同級生が元大関の美男力士・名寄岩にお嫁に行った。「なんであんな人のところに」と皆で話したという。

 私がたまに出席する錦戸部屋(元水戸泉)の祝勝会ではオペラ歌手の親方夫人がサラ・ブライトマンのタイム-セイ・グッドバイを歌い、その見事さに感心したものだ。力士には美人がお嫁に来る。相撲界が華やかになっていい。

売上見込み達成者、初日に3人

 耕営業部員11人のうち3人が4月度初日の3/21に売上見込みを達成した。このような大量人数の早期達成は初めてだ。見込み達成者は残り30日海外でも温泉にでも行ってのんびり過ごしてもらいたい。

 早期達成者は引き出しの中の売上材料が多いのだ。仕事を発注してくださるかどうかはお客様の都合。仕事のカードが引き出しにいっぱいあれば、いずれかの仕事が発注される。それにスピード応対すればお客様は喜んでくださる。

 全社共有にある「売上見込み表」を私は毎朝真っ先に開く。競馬を見ているようで面白い。抜きつ抜かれつ。まさにゲームである。仕事はゲーム感覚でやってもらいたい。

 例えば制作課グラフィクG員が「このページのレイアウトUPは前回50分かかった。今回は40分でやろう」。39分で終われば勝ち。45分掛かったら負けだ。てな具合だ。

印刷業は自主保全産業である

 「印刷業とは装置産業だと思っていた」と言う大阪の印刷会社社長のメールからヒントを得た。オフセット印刷機を買換える気が全くない耕文社の社内報を見ての大阪社長の感想だ。

 「それでは耕は何産業なのか」私は自問してみた。そこで思い付いたのが「自主保全産業」である。自主保全で装置を最善の状態にしておけば良品を生産できる→お客様は満足してくださるーという図式だ。

 数千円の部品交換で16年前に購入したオフセット印刷機3台は滑らかに動き、新機と比べ遜色のない刷本を排出する。素晴らしい光景である。その結果金融機関からの借入はゼロになった。

 毎月利益が出た分、王耕の当座預金が積み上がっている。「いくら当座が増えたからと言って運用しようと思うな。会社の金は金利ゼロの当座において置け。それが1番健全だ」と西沢良一会計士はおっしゃる。

185年動いている活版印刷機

 私がいつも思い浮かべるのは185年動いているドイツの活版印刷機である。1枚ずつ印刷する古典的印刷機だが活字がヘタっていなければクッキリと立派な書面印刷ができる。185年良品を生産できるのは機長の自主保全の結果である。

王耕の魅力は財務データ

 王耕HP(ホームページ)のトップに企業情報と並んで財務データ(毎月更新)のページを入れた。強調したいのは①借入ゼロ②自己資本比率の改善の進み具合―だ。見る人が見れば分かる項目だから学生にも見てもらいたい。

 会社の行き着く先は財務データという形で表現される。それが良いか悪いかは商売している人には大体分かる。簡単に言えば「資金が効率よく回っている会社か」判断されるわけだ。

 社長がロールスロイスに乗っていようが、自転車通勤かは問題ではない。貸借対照表の負債の部にすべてが表現される。自己資本比率20%は欲しい。5%でロールスロイス通勤している社長がいたらこれは「単なる阿呆」である。

 負債の部から「王耕は王道を歩きながら儲けている会社」と判断されたらとても名誉なことである。

リモートは便利だ

 王耕のパソコン総入れ替えに便乗して私の個人所有のものも担当の山村さんに新機種にしてもらった。

 3/14 ケ-ブルテレビと通信を一括管理しているJcomの技術者が自宅に来てデータ移行した。技術者が帰った後、①個人と②会社のメールを開くマークがデスクトップにないのに気づき「戻ってやってくれ」と電話した。「戻れない規則になっている」とか言われて結局はJcomとリモートで回復することになった。

 やってみると便利だ。リモート先の担当者は回復後リモートに繋ぐマークをデスクトップに入れてくれることまでしてくれた。これで分からないことは今後すべてリモートで解決できる。ありがたい。技術者が引き返して回復するよりもっと大きな成果を得ることができた。

 世の中大体こんなものである。粘りに粘って解決に漕ぎつければ予想もしなかった成果にたどり着くことができる。途中腹の立つことも多いが「最後には大きな成果を手にすることができる」と思い込むことが大事である。

得意技で仕事をやって行けばいい

 5つのうち1つ得意技を持っていればいい。例えば印刷機の自主保全。これ1つを強調して勤務するのは可である。本人が「自主保全は私に任せてくれ」と公言して自主保全を着々と進めてくれたら周りの人は助かる。自主保全で派生的に出てくる問題を解決してくれれば周りは感謝する。

 手順は次の通り

1、自信がなくとも「この問題の専門家になってみせる」と公言する。

2、1点集中で修練を重ねる。

3、専門の周辺の問題が発生したら自ら進んで私見を述べ、担当すべき業務を請負う。

4、担当すべき業務の周りの地固めをしていく。

 多くの業務の熟達者になる必要はない。「1点突破で穴をこじ開けていくつもり」に価値がある。

反響大きかった王耕借金ゼロ

 例年通り①社内報②ゆうLuckペン(毎日新聞退職者作文集)を20人に送った。今回は「王耕借金ゼロ」の記事に異様に反応してくれた。皆「凄い」「素晴らしい」とおっしゃってくれる。こちらもそこが狙い目だった。誰でも「借金」という言葉には過大に反応する。皆さんの苦労の種なのだろう。

 ある印刷会社社長は「印刷業は装置産業と思っていた」という。「とんでもない。印刷業とは自主保全産業ですよ」と言いたい。

 基幹設備はそう進歩するものではない。例えばオンデマンド印刷機。メーカーの宣伝文句に乗ってはいけない。ちょっと化粧を厚くしただけなのに「革新的前進」などと思い込んだらメーカーのカモである。

 私はことあるごとに「85年使っている活版印刷機」の写真を思い出す。活版機は磨き抜かれ、鉄の芯は黒光りしていた。堂々たる現役の印刷機であった。

 耕にはメーカーに騙されやすい社員が一杯いる。私はそこに目を光らせる。

1社依存の設備投資はキケン

 毎月とっているラベル新聞に設備増強のストーリィが載っていた。お客様から「抜き加工は非常に難しいのでお宅で請負ってほしい」との話があり、その朗報を喜んだ事業主は早速高性能の抜き機を買ったーという。話はそこまでだが1番多い設備投資きっかけである。

 この手の話は王子段ボールでもあった。「抜きを内製化すれば売上は増えるだろう」という予測をもとに1千万円で中古の抜き機を買った。ところが操作が難しくて加工できない。誰がやっても抜き機は稼働しなかった。結局抜き機は700万円で売却した。散々であった。

 抜き加工の最終的解決策は「抜きは難しい加工だ。専門にやってくれる外注さんにお願いする」だった。現在、技術のある外注さんが3社ある。請けてくれるところに発注者がお願いする」というサイクルが順調に動いている。

 王子が外注さんを使えるのは受注が増えているからだ。また王は「抜きの仕事はお宅で全部やってほしい」という頼み方はしない。1点1点の仕事で見積りをお願いするーというやり方だ。

 変な約束をしてしまうとお互いが縛られてしまう。

我が家の違法建築物を撤去

 私のマンションは64年前の東京オリンピックの時1960に建てられたものだ。その後広いバルコニーに各戸で勝手に3畳間を増築した。その中古マンションを私が34年前に購入した。ここにきてその違法増築部分を撤去することになり3/8 工事が始まった。

 建設会社は「不要なものは出してくれれば一緒に捨てる」と言ってくれるので喜んで出した。使っていない座布団、古い靴、溜まった本など。不要物がほとんど断捨離された。

 私の居住空間は3畳間分減ったが、ゴミがなくなったため10畳ほど空間が増えたような印象だ。ありがたいことだ。

 撤去工事は1か月続く。「その間気が付いた不要物をその都度出していけばいい」と業者は言ってくれている。利用可能空間はさらに2畳分ほど増えるだろう。まさに76歳にして発生した珍事である。

基幹生産設備は社の運命決める

 愛知県で水性グラビア印刷で菓子袋を印刷していた会社が安価な油性グラビア印刷に負けて倒産した。①原価②鮮明度③印刷操作性ーから見て最適の基幹設備にしないと競争に負けてしまう。

 王耕の売上比でみる印刷法は次の通り

1、王=フレキソ印刷100%

2、耕=①オフセット印刷70% ②オンデマンド印刷30%

 耕の①②は②が押し気味で進行している。「基幹生産設備は何で決まるか」と言えば、それはマーケットの大きさで決まる。肩に力を入れず現実を眺めていればいい。

寝るときは外す。92万円入れ歯

 確かに保険で作った入れ歯よりも口内の上顎に吸い付いているようで噛みやすい。日中は嵌めたままでも不都合はないが寝るときは外している。まだ慣れていない。

 ポイントは食事が美味しくなるかだが、まだ美味しく食べられている状態ではない。

 私に与えられた道具はこの入れ歯だけだ。十二分に使っていくつもりである。入れ歯に慣れるだけだ。

パソコン2か所とつながった

 プリンターと②TDB(帝国データバンク)である。この2か所がPCと繋がらないと私は羽をもがれた鳥である。

1、ガンガンプリントアウトして私の考えを発信する。

2、費用を惜しまず安直にTDB評点資料を出して取引先与信管理する。

 私の業務の両輪である。この2点を抑えておけば自信をもってことを進められる。

王子のPCはデスクトップだ。初めての大きな画面は新鮮だ。

上顎の入れ歯作りが終わった

 戸越の平和坂商店街の菅原歯科で製作中だった。埼玉県上尾市から来た著名な歯科技工士(82)の手による入れ歯だ。

 従来と違うのは①保険診療ではない。②請求額は92万円。③金属で薄く作ってあり上顎にピッタリ装着されている。④「1日中つけておくように」というアドバイスだった。

 厚肉の保険で作った入れ歯はどうも食べにくい。面倒だから入れ歯を着けないで食事をしていた。うまく噛めない。さっぱりご飯がおいしくない。老人が食事を楽しめなくなったら終わりだ。

 いよいよ切羽詰まって自由診療で作ることにした。「1週間で合っているか判断できる。3月末までに振込をお願いします」と言う。振込先はなぜか みずほ銀行五反田支店。

 インプラント3本入れた老女は400万円請求されたという。いずれにせよ歯は大事だ。

新PCがプリンターに繋がって嬉しい

 3/1に入ったPCが私のだけがプリンターに繋がらなくて困っていた。3/4朝システム管理者の山村さんが繋げてくれた。

 急に手足が自由になった気がした。入力→プリントができるようになっただけだが「色々なことができる」感覚になった。

 プラスαのことは順次追加して皆さんにお知らせしていけばいい。例えば「新と旧PCのちがいはなにか」とか。

 システムはとても重要なテーマだ。深堀して私のテーマ設定を通じて王耕社員のシステムへの理解を深めたい。

縁の下の力持ちを表舞台に出す

 基本的考え方は「その人が集計したものはその人が発表する」である。上司からの指示で集計・表づくりしたら結果数字は上司が発表するーでは救いがない。今後は「製作者が発表する」に変更する。

 これまでの反省は「良きに計らえ」上司を認めてきたことだ。「(部下に)良きに計らえ」だから結果に興味を持たない。発表はおざなりになる。熱は入らない。良い面は何もない。

 データ作りから発表まで製作者に一連の責任を持ってもらえれば聞く方もその意欲を感じることができるだろう。

 その第1弾が集計者による報奨金の手交である。

王シート購入40,000㎡/日に

 12年前の王買収当初、私は「王の製函能力は50,000㎡/日」と言っていた。それが2/27には40,000㎡/日のシート発注になり山室課長は「すべて内製する」という。50,000㎡/日生産に肉薄してきた。

 製函課の生産能力増加ぶりは大したものである。製函機に少しずつ手を加え、恐ろしく効率のいい設備に変容させてきた。大して費用は掛かっていない。こんなところに製造業に携わる者の醍醐味がある。

 恐らくこれからの製函機は①不要な部分は削ぎ落とされ②必要な鉄芯は強化され③油は十二分に注ぎ足され④音も小さく軽快に回転して行くだろう。6年前に購入した同じ製函機である。

 工場面積は変わりなく驚くほどの生産性UPを見せてくれることになる。

 段ボール箱需要は将来もそう変わるものではない。マーケットは着実に増えて行く。必要となるのは納期短縮である。今の仕掛時間の半分、さらにその半分のシステムを作って行く必要はあるだろう。

 実現するのは王社員のアイデアである。

FSC(森林認証制度)マークを取得

 卓越社員の寺岡隆造さんが2/28 FSCマークを取得した。これまで他社のマークを拝借してFSC製品を作ってきたのがこれからは耕文社の資格でマーケットにだせる。

 拝借費用として年400~900万円を有資格会社さんに支払ってきた。この分がゼロになると同時に耕は正々堂々たるFSC印刷会社として市場競争に参入できる。

 これまで複雑な手続きを我慢強く実行して取得にまで漕ぎ着けた寺岡さんの功績である。

 前回耕のFSCマークが失効したのは製造したFSC製品の報告を本部に怠っていたためである。本部への報告さえ100%やっていればマークの継続使用ができる。

自転車の空気入っていて万全

 戸越の歯医者に行くため耕自転車を使った。「タイヤの空気は入っていないだろうから」と思い大崎駅の区駐輪場の自動注入器で入れようと入口まで行ったら前後のタイヤは十二分にパンパンだ。誰かさんが入れて置いてくれたのだ。

 おかげで歯医者―戸越で買い物をできた。空気の入っていない自転車に乗るほど虚しいものはない。

 念のため青自転車の他の茶自転車もタイヤを見た。こちらもパンパンだ。誰かさんが空気を入れて置いてくれたのだ。感謝。

 公共の乗り物の整備が出来ているのはさすが耕社員だ。

売上減の中、目標達成した製函課

 2月の王売上は前年比6%減と惨憺たるものであった。これは角川様の仕事がレンゴーに流れた結果である。取ったり取られたりは商売の世界では普通の出来事である。

 この中で製函課が売上目標772万円に対して798万円を売上げてくれた。「目標達成である」。これは意外だった。普通であれば「仕事が来なければ機械は動かない」と言うのが製函課課長の言い訳である。

 山室課長の発言では「幡野さんとの打ち合わせを密にやった」。その結果外注丸投げ予定分を内製に引き戻すことができた。

 ひたすら効率UPを目指していれば利益を外に逃すことはない。内製化も大した苦労もないまま気軽に実行できる。それが今の製函課だ。

島根県のラベル印刷会社に注目

 松江市のタニタ㈱だ。日本の僻地で62年製本業、51年間シール印刷業をやってきたいわゆる「しぶとい会社」だ。ラベル新聞(2/15)に紹介されているのを見て「何か特徴があるはずだ」と思い読み込んだ。

 結論から言えば、エプソン社の「SurePressL-4033AW」を購入したことでラベル印刷の将来生産に見通しがついたようだ。ラベル専門印刷をPRしている会社ではオフセット間欠機、ラベル輪転機が基幹設備だが次のデジタル設備の見通しがついていると強い。エプソン社のデジタル機を想定しながら次の工場を形作って行けばいいのだ。

 耕もオフセット印刷機1本でやって行く気はない。オンデマンド印刷機の印刷需要がどれだけ増えるか様子を見ているところだ。どちらに転んでもいい。マーケットが拡大する設備を増強して行けばいいだけだ。

カレー店に衣替えすればいい

 帝国劇場のB2に「宮崎ステーキハウス霧峰」と言うステーキ店がある。ここで食べたカレーライスが忘れられない。しっかりデミグラスソースを作っているのとついているスープの味がいい。

 昼にカレーを頼もうとすると「売り切れです」と言われ続けている。

 若い店員は「この店の売れ筋は①カレー②ハンバーグ③ステーキ―だという。「日本人はステーキよりもハンバーグが好きだ。カレーは圧倒的に売れる」「だったら注文の多い順に作る量を決め直せばいい」と言ったら「うちはステーキ店なのでそうはいかない」と。「頭が固いんだよ。カレーを増やしたら客の滞在時間は減るし儲かるぞ。簡単なことだ」。

 何も店名を変える必要は無い。同じ名前でカレーの売上を10倍にすればいい。

 即断即決の風土がない。折角霧峰の調理技術があるのに利益に結びつけられないでいる。王耕では考えられないことだ。

歩行がかなり回復

 ピョコタン、ピョコタン歩きで速度は小学生の3分の1。いかにも老人歩きになってしまってから半年が過ぎた。

 スーッ。今日(2/17)の歩き始めは快適だった。無理して背筋を伸ばして歩けば常人と変わりない。東京高輪病院の山本内科医の指示どおりに薬を飲んでいる成果が出てきたのだ。

 「いずれ足腰は元のように戻る」と言う確信はある。それまで焦らず回復を待つつもりだ。

ウーマンビジネスグランプリ

 2/18大崎駅近くの品川産業支援交流施設で開かれた品川区の事業の決勝戦を見た。起業しようとする女84人が自分の事業説明に応募して残った8人のコンペであった。

 いずれも子供を持ったお母さんたちのアイデアが多く①お腹の大きくなった妊婦用のウエディングドレス作り②ママが集まり自分の得意技を磨く「ママズの家」を開く(グランプリ)③調理者の手間を半減した介護食の開発―など。

 私は区の広報誌を見て会があることを知り参加した。今年で13回目。会場は150人ほどが集まり、応援団も多く熱気ある会であった。

 男も女もない。それぞれがアイデアを出し合う時代だ。「周りの人を仕合わせにしたい」と思う心がアイデアの出発点だ。アイデアはそれを実現する力がある。それは社会、家庭、会社の場所を問わない。